今日はちょっと遅くなったな。
ゆっくり靴箱に入ると、見かけない女の子がいた。
靴を履き替えながら、近くに寄っていく。
なんだかツンとして全然喋らない。
どうしたのかな…?
あっ、もしかして僕のこと好き?
僕この学校では有名人だからなぁ
ほら、やっぱり!
教室に向かいながら話しかけ続けると、急に彼女が止まった。
それ僕のこと?
よく知ってるなぁ…
ぽかんとしていると、彼女がカバンから何かを取り出した。
始業チャイムが大きな音で鳴り響く。
メガネをかけた姿を見たらすぐに気付いた。
学年一の優等生で、謎が多い君。
メガネの奥から冷たい視線を僕に送る。
え、それ褒められてるよね?
ピシャと閉じられた扉に少し怯んだ。
チャイムの最後の一音を聞いて
廊下に取り残された僕のハートが、
グラグラと揺れる。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。