おっぱの作ってくれたご飯を食べてると、ユンギが帰ってきた。
珍しく真っ黒以外の服を着たユンギがイヤホンを外しながら部屋に入ってくる。
短く返事をしながら、キャップだけ取ってソファにどかっと腰掛ける。
せっかくおっぱが話してるのにスマホから一度も目を上げないユンギを見て、思わず笑ってしまった。
なんか改めて言われると照れる。
スプーンですくって向かい側に座ってるおっぱに腕を伸ばした。
ソファに座った彼に向けてわざとらしく呼びかけるおっぱ。
その対象がやっと顔を上げると、眉間に皺を寄せてひどく迷惑そうな表情をしていた。
ユンギがやっと返事したけど、その短い返事がおっぱの地雷を踏んだらしい。
…なんだか黙って聞いてれば私まで攻撃されてないか?
わざと刺々しく言ってお皿に視線を戻すと、ソファにいたはずの影がのそのそと動き出してこっちに近付いてくる。
私の隣に来ると、珍しく素直に口を開けてくるユンギ。
仕方なくスプーンを口に運んであげると、満足したようにもぐもぐしながらソファに戻って行った。
なんだか唾が飛びそうなくらい興奮してるおっぱ。
落ち着いてください…笑
ん…?
なんか人間とは思えない謎の奇声を発するおっぱを置いておいて、私は美味しい食事を完食した。
ユンギは心なしかさっきより清々しい顔になって、ニヤニヤしながらスマホを見てる。
多分おっぱを悔しがらせてるのが楽しいんだなぁ…
食事を終えたおっぱが洗い物をしている私の所まで来て、片付けを手伝ってくれた。
食後に一緒にお酒を飲もうと約束してたから、2人でソファに向かう。
おっぱがテレビを見ながらくつろいでる私の横に来て、密着して座る。
そのままさりげなく肩を抱き寄せられた。
おっぱはこういうとこ、男らしいんだよね…
柔らかいシャンプーのいいにおいがしてきて心地良いし、触れてる肩と手があったかくて安心する。
そのままおっぱの肩にもたれた。
頭をこてんとくっつけると、上から顔を覗き込んできた。
優しく笑って、おっぱの視線はテレビへと戻る。
2人でテレビを見ながら話してると、ずっと静かだったユンギがのそのそとこちらに来た。
なんだろう?と思ったら、何も言わずに私の太ももに頭を下ろした。
ユンギは安定の無言…笑
ちゃんと目を見て視線を絡めると、おっぱの顔が少し赤くなった。
そんなことを言いながら小刻みに揺れるおっぱを見て吹き出してると、下から急に伸びてきた手が私の首を掴んだ。
そのまま頭を下げられると、ユンギの唇が迎えに来て
チュッとキスされる。
驚いてユンギを見ると、何事もなかったようにまたスマホに視線を戻していた。
おっぱの叫びに対して、ユンギはまた無言かと思ったら…
と満足そうに笑った。
それを見て半泣きのおっぱ。
そう言い終わる前に、可愛いおっぱに
私からキスを贈った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。