教室の扉が勢いよく開いた
全くこいつは…
大勢の前でこんなこと言うなんて恥ずかしくないのか?
本当に神経を疑う
手でシッシッと仕草をすると、口を窄めてやっと自分の席まで行った。
授業が終わって生徒達が次々と教室から出て行く中、片付けをしていると毎回待ってる君
なんでこいつはこんなストレートに言ってくるんだ?
子どもだから?
何も知らないから?
純粋すぎて対応しきれない
下から覗き込まれて、もうやることなんてないのに忙しい振りして目線を逸らした。
無視しても尚
懲りずに後ろをぴょんぴょんとついてくる。
本当に何を考えているのか
わからない生き物すぎてーーー
自分でも驚くくらい冷たい言葉が口から出ていた。
まずい、とは思ったけど
立場的にもう引き返せない。
ショックを受けて固まっている君を横目に、準備室に逃げ込もうと考えてる狡い自分
ここまできて、まだこだわるのか?
身体が金縛りにあったみたいに動けなくなった。
神様が逃げようとしてる自分に罰でも与えたのかもしれない。
どう答える?
何て言えば正解なんだ?
いや、1番問題にならないのはーーー
そこでタイミングよくチャイムが鳴った。
ハッと我に帰る。
振り返ると今にも泣きそうな顔をしている君
見なかったことにして、静かに告げる
何も言わずに走って教室を出て行った君を見て、ため息と共に椅子に腰掛ける。
脱力して背もたれに体を預けた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。