第82話

ある雨の日のこと2ーV
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2021/05/07 09:15
Th
食べないの?
家に連れ帰りせっかくミルクをいれてあげたのに、飲む気配がない。
Th
お腹空いてないの?
すると、どこからともなくグゥとかわいい音が聞こえてきた。
Th
ふふ、お腹空いてるじゃん。
ほら、飲みなよ?
you
あぁ、見られてると恥ずかしいのかな。
Th
じゃぁ、僕はあっちに行ってるね
君の側を離れて一度部屋を出る。


廊下を回って扉を開ければ、ここに繋がってるんだ。

後ろからそっとドアを開けると、警戒心でいっぱいの顔してミルクを見つめてる君。

でもきっとお腹は限界なんだよね?

次の瞬間、勢いよく目の前のミルクを飲み始めた。
Th
あぁ、よかった。
飲んでる飲んでる。
そっと近付いて、ミルクを飲んでる君の目の前に座る。
ビクッと身体を震わせて僕を見上げた。

口の周りには白い跡。

汚れちゃって可哀想だから、僕の袖で少し拭いてあげた。
Th
それ飲んだら、お風呂行こっか。
you
まだ震えてる君を立ち上がらせてあげる。

足もガクガクしちゃって…寒いよね、可哀想に。

君の座っていたキッチンの床が、雨のせいで濡れてる。

ミルクも少し飛び散ってるね、あとで拭かなきゃ。
Th
ほら、その汚れた服も洗おう?
おいで、と言ったけど近付いて来ない。

困惑するような表情を見せた後、カチャ…と金属音が鳴った。
Th
あぁそうだったゴメン、
you
っ…
一歩近付いて安心させるように頭を撫でてあげる。
Th
これ外さないとね、
僕はポケットから鍵を出して、君の首についた金具を外してあげた。

シャラ、と鎖がなって床に首輪が落ちる。


もう少しこの家に慣れたら、君専用の動ける首輪を買ってあげないとね?

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