バタバタといつにも増して騒がしく帰ってきたのは、俺の彼女。
こんな風に俺を手懐けるのは、やっぱりこの耳と尻尾のせいだろうか。
眉間に皺を寄せてあなたを睨むと、上機嫌で笑いながら近寄ってきた。
この姿のせいで一昨日から家を出れない俺は、完全にあなたの飼い猫だ。
ガサガサと包みを開けて出したものを見て、こいつがテンション高めに帰ってきた理由がわかった。
目をキラキラさせて近付いてくるあなたをかわして、ソファの角に座る。
めげずにソファに座ってくるから、こんなとこじゃダメだとまた逃げた。
寝室に行きドアを閉めて、布団を被る。
この部屋に鍵がついてないのが残念なくらいだ。
俺が逃げてるにも関わらずこんなに余裕なのは、きっとこのかくれんぼが簡単すぎるせい。
完全に俺の判断ミスだ。
すぐに見つかってベッドが揺れる。
観念して布団から顔を出すと、あなたがニコニコしながら買ってきたばかりの土産を目の前に差し出した。
圧力に負けてため息を吐くと、嬉しそうに笑ったあなたが俺の首元に手を回す。
カチャ、と音がしてそのかわいい音とは真逆のゴツいベルトが巻かれた。
くそ…なんで俺がこんな目に。。。
満足そうに笑うあなたを見て、この笑顔に弱い俺は
まぁいいかと思ってしまう。
耳をふにふにと触るあなたの手を取って、その甲にキスをした。
ここがベッドだってことだけが、飼い主の判断ミス。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。