小さい頃からよく来てる公園。
大体ブランコに乗って2人で話すけど、今日は珍しくベンチに座った。
…とか言って、本当はグクのだけ特別。
でも変に意識して今の関係壊したくないし、まして本命渡して笑われたら最悪だし。
あーー我ながら可愛くない言い方。
…ほら、グクはなんとも思ってない。
むしろこうやって偉そうに憎まれ口叩いてる方が私達っぽいし。
別に悲しくなんか、
悲しみも吹っ飛ぶ最悪の一言。
もういいや、こうやってる方が楽しい。
ガサガサと包みを開けるグクをドキドキしながら見つめる。
見過ぎてたのがバレたのか、グクに見つめ返された。
そう言って口を開けて待ってるから、仕方なく一粒手に取った。
無駄に心臓がドキドキしちゃって、今更ながら気恥ずかしい。
素直にあーんなんて出来なくて、グクの口元まで持っていった手を引っ込めた。
あ、という顔をしたまん丸の目を見て、何を思ったか私は自分の口にそれを入れる。
チョコの味が口いっぱいに広がって、私の恥ずかしさも一緒に溶かしてくれそう。
やば、怒った?
焦った時にはもう遅くて。
がっしりと後頭部を捕まえられて、唇を奪われる。
まだ溶け切ってなかった口の中のチョコが、グクに全部持っていかれた。
突然のことにびっくりして、口元を隠しながら叫ぶ。
2人の熱によって溶けた義理チョコは、後になってちゃんと本命の味がしたみたい。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。