第47話

バレンタインチャレンジーNm
2,117
2021/02/11 01:00
あぁ、このタイミングで来ちゃうとか私って本当運が悪い。

放課後の中庭。
好きな人にチョコ渡そうとしたら、相手の本命とまさかの鉢合わせ。

私の目の前で恋実っちゃって…
ある意味、振られなかったんだから運が良いのかな?

手に握っていた包みを急いでカバンに仕舞い直して、何事もなかったかのように中庭を去る。

出来るだけ早足で校舎内に戻り、1人になれる所を探した。

あぁやばい、ガラにもなく泣きそう。

いつも大体人がいない場所、図書室に来た。
ほらやっぱり先生すら席外していて、いない。
図書室の奥のコーナーに座って机に伏せた。

これでもし誰か来たとしても、寝てる奴って放置してもらえるだろうし…

でも、1人になってみれば余計に虚しくて。

結構仲良いと思ってたんだけどな、なんて自分で自分の味方をしてあげる。

もしかしたら、肩が少し震えたかもしれない。

嗚咽も、少し漏れたかもしれない。

暫く静かに泣いて顔を上げると、目の前に既視感のある人が座っていた。

やば…泣いてるのバレたかな。。

あぁ、なんか見たことある…
一年かな?結構人気の子。
確かにかっこいいけど…私のタイプではないなぁ

働かない頭でそんなことを考えながら、ぼーっと彼を見ていた。
Nm
失恋ですか?
話しかけられてやっと我に帰る。
you
…違う
Nm
でもこんな日に、
you
関係ないでしょ
Nm
ここって、中庭見えるって知ってました?
you
あぁ、そういうこと。
見られてたんだ。
you
覗きの趣味でもあるの?
Nm
はい、生憎。
そう言って笑う彼は、なんとなく危ない香りがする。
you
ど変態か
Nm
よく言われます
ハンカチを差し出されて言葉に詰まった。

今の時代、こんなことする男いたんだ。

なんか悪い気はしなくてそれを受け取った。

同時に、その手をぎゅっと掴まれる。
you
ちょ、っと…?
Nm
僕じゃ、ダメですか?
真っ直ぐに見つめてくるその瞳に、私は何故か有り得ない返事をする。
you
…代わりになるの?
Nm
ヌナが望むなら。
掴まれている手をぎゅっと引っ張られて、目の前の彼が近付いてきた。

気付いた時にはもう唇を奪われている。

やっぱり危ないっていう勘は当たってたみたい。

年下のくせに、強引すぎ…


図書室での背徳的なキスは、バレンタインなのにしょっぱい味がした。

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