第22話

DangerーSG
2,830
2021/01/20 12:05
"お前ら付き合ってんじゃなかった?"

そうだよその通りだよ

そう、だよな…?

何で君の居場所を俺が知らなくて

コイツから聞かなきゃならないんだ


ここにいるらしいと聞いて来たクラブ

ガンガンと頭に大音量の曲が響いてくる

寝不足の俺には耐え難い頭痛

頭がクラクラして1人でタイムスリップした



you
会いたいな
こんな可愛い声で言われたら誰だって恋に落ちるだろ?

胸の辺りがギュンと鷲掴みにされた

電話の声の主は意味ありげに照れ笑いしてデートの約束を俺に取り付けさせる



何度か2人きりで会って

その度に可愛い顔で誘惑してきた君

そのせいで俺の心は完全に君のものになった

男なら誰だって勘違いするはず

この子は俺のこと好きなんだって


告白して付き合い始めたはいいけど、友達だった頃のような甘い雰囲気は皆無

そういえば可愛い笑顔もずっと見てないな
"好きだよ"
と言えば言うほど離れていくように感じる君の心

俺の愛のカタチが君に届かずに粉々に崩れていく

その破片が俺自身に刺さって痛みを感じると急に現実に引き戻された


目の前に君を見つける


クラブで踊り狂う君はやっぱり今日も綺麗だけど

その姿を見てるのは俺だけじゃない

むしろこんなとこにいる君を俺は知らない

もう昔の俺たちに戻ろう

その方が君も楽なはず

人混みをかき分けて君に近寄る
you
ユン、ギ…なんでここに?
別れの言葉くらい言わせてくれ

目を見開く君に簡潔に伝える
Yg
別れよ。
目がチカチカするフロアをまた人混みをかき分けて出口まで向かう

後ろから誰かに掴まれた

振り返るとふわっと香る君特有のにおい
なんで引き止めるんだよ?

決心が揺らぐ

無数のライトを浴びて輝く君を見て

今まで抑えて来た欲望が顔を出す



やっぱり、お前が欲しい

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