今日はホワイトデー。
仕事が落ち着いた私はバレンタインのお返しに何をしようとずっと考えていた。
そこで計画したのがケーキ作り。
慣れないなりに頑張って、シンプルなショートケーキを作った。
初心者の割には結構うまくできたと思う。
仕事で遅くなったテヒョンが帰ってきた時にはもう日付が変わっていた。
声をかけられて気付く。
ソファで寝てしまってたみたい。
待ち侘びていた彼の首元に抱きついた。
ここでいつも寝ちゃってるテヒョンも、私を待ってくれてたんだなって今ならわかる。
嬉しそうに笑うテヒョンの頭を撫でて、冷蔵庫に取りに行った。
お皿に乗せて運んでくると、目を輝かせて喜んでくれる。
いちごに目を奪われているテヒョンにお皿を差し出すと、少し考えたように止まって真顔で私を見つめてきた。
そういえば今年バレンタインにテヒョンがくれた薔薇の花も、海外では…って話だったよね。
フォークを取って、いちごを彼の口へと運ぶ。
あーんと可愛く口を開けて頬張るテヒョンが可愛くて、私の顔も緩んだ。
今度は生クリームのたっぷりついたケーキを口へと運ぼうとすると、またご注文が入る。
急にそんなこと言うからテヒョンはやっぱりわからない。
…ん?
それはさすがに…
じっと見つめると、だんだん我慢できなくて笑い出すテヒョン。
こんな可愛い顔して騙してくるから、いつも結局許しちゃう。
語尾にハートまでつけちゃって、、
でもさすがにそんなこと、恥ずかしくてできないです。
そう言ってフォークをテヒョンの方に向けると、急に視界にテヒョンの指が入ってきて…
気付いたら生クリームを掬って私のほっぺにつけてきた。
すぐにテヒョンの舌が私の頬を掠めた。
ぺろ、という効果音がついたみたいに。
恥ずかしくなってフォークを握りなおすと、またテヒョンの指が生クリームを掬った。
そして今度は自分の唇へ。
さっきとはまるで違った真剣な顔に、何故か私がドキドキした。
そんな彼に逆らえず、顔を近づけてそっとクリームを食べる。
すぐに両手で頬を掴まれ、そのままテヒョンに唇を食べられた。
そう言って笑う彼は、やっぱり可愛くて怒れない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!