2人で珍しくお菓子作りをしているのは、やっぱりバレンタインだから。
メンバー全員のために頑張って作ってるんだけど、既に失敗の予感。
それでもなんとか形は整って、2人で仲良く待って行った。
付き合って半年のおっぱには、チョコ味じゃない特別なやつを冷蔵庫に隠してあって今夜渡す予定。
サプライズで渡したら、喜んでくれるかなぁ…?
みんなにもあげたシフォンケーキをもしゃもしゃと食べながらおっぱが返事をした。
こうやっていつもいじられるおっぱ。
普段通りなんだけど、今日のは半分私のせいでもあるから何となく居た堪れない…
ちゃんと用意してるって、言っちゃおうかな?
私が一人で考えていると、その様子に気付いたのかおっぱが立ち上がって帰る支度をした。
2人で練習室を出ると、やっぱり私を気にしてくれるおっぱ。
いつも通り、優しく頭を撫でてくれる。
そう言って笑いながら肩を抱き寄せてくれた。
どこまでも優しいおっぱに好きが溢れて、まだ家に着いてないのにどうしても伝えたくなった。
そこまで言うと、背の高いおっぱが私の顔を覗き込んだ。
びっくりして途中で口をつぐむ。
おっぱの人差し指が私の唇にぴとっと当たり、急なことに心臓が跳ねる。
どこまでも大人なおっぱは、いつも私のやることはお見通しなんです。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。