ここ数日は仕事が忙しくて全く私生活に構う暇がなかった。
今日が2月14日だってことはわかっていたけど、それがバレンタインデーとは微塵も繋がってなくて今更焦る。
もうかなり遅くなってしまったけど、彼は起きてるだろうな。
やっぱり起きてた。
ソファに寝転んでいたテヒョンが、私が帰ってきたのを確認して起き上がる。
彼の表情はいつも読み取るのが難しくて、今日に至っては期待も特に感じられなかった。
これは…もしかして気づいてないかも!?
そう思って様子を伺ってると、テヒョンが楽しそうに口を開いた。
あ…ですよね。。。
こういう時は素直に言うに限る。
テヒョンは隠し事をしないし、いつも真っ直ぐだから。
ぽかんと口を開けながら、目を丸くしてこっちを見てる。
まるで、今気付きましたみたいな反応。
あれ?バレンタインだから楽しみにしてたんじゃないの…?
付き合って2年経つけど、未だにこの人は掴みきれない所がある。
とりあえず許されたので、着替える為に部屋を出ようとするとテヒョンに呼び止められた。
ソファに座る彼のところまで戻ると、チェストから何かを取り出した。
それを背中に隠しながら、満面のニコニコ笑顔でこっちを見てる。
癒されるその顔に、自然と私まで微笑んでしまう。
そう言って目の前に出された一本のバラ。
それを受け取ってバラ特有の香りを楽しんだ。
少しテヒョンのにおいもする気がして、余計に嬉しい。
手元から顔を上げてテヒョンに視線を移す。
正面から抱きしめられて息が止まる。
こんなロマンチックな夜って……。
幸せすぎて顔が熱くなった。
今までで最高のバレンタインです。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。