スマホから一瞬だけ目を離し私の方を見たけど、またすぐに目線を下げた。
え、全然引っかからないじゃん…
せっかく思いついたんだから、ちょっと嫉妬してくれたりしないかな?
なんて思ったのに。
すぐバレるかなと少し焦って答えた。
するともう一度目線を上げて、視線がぶつかる。
ユンギが目を細めながら小さくため息を吐いた。
気迫につい押されてしまい、答えが弱気になる私。
さっきまで嫌というほどスマホばかり見ていたのに、今は1秒だって逸らさずに見つめてくるから余計に焦る。
無表情のまま、全く動かず。
終始おんなじトーンでそんなこと言われたらたまったもんじゃない。
すぐに席を立ってユンギの元まで行く。
ソファに座る彼の首元に抱きついて頭をぐりぐりすると、耳元でふっと吹き出す声が聞こえた。
許してくれたか確認したくて、姿勢を正すと目の前にユンギの顔が見える。
少しだけ笑いながら聞いてくるのが、ちょっと誇らしげなのはなんで?
なんで一人でニヤニヤするの。
そんな面白いところあった?
私が不服そうな顔しているのが伝わったみたいに、ユンギの手が私の手を取った。
珍しく恋人繋ぎでにぎにぎとしながら、背もたれに身体を預けたユンギが上目遣いで見つめてくる。
エイプリルフールに失敗した私が、まさかこんなご褒美もらえるなんて。
でもこの後、もう二度とくだらない嘘言わないようにときつく怒られました。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!