喉に違和感がある。
ここ数日無理しすぎたか…
時計を見ると午後2時。
2日前から部屋に篭りきりで仕事に没頭していた。
身体が冷えているのも気にせず続けていたからかもしれない。
こんな時1人暮らしは面倒だな。
何か食べたい物があるわけでもないし、宅配を頼む気力もない。
とりあえずベッドに入って体を休めることにする。
眠る前に一応あなたに連絡をしておこう…
気付いたら寝ていたようで、時計は午後8時を指していた。
6時間…
枕元のスマホを見ると、あなたから一件の着信があった。
折り返したけど出ない。
急に人肌恋しくなって、続け様に何度かかけた。
不貞腐れてまた寝ようと布団を頭まで被ると、部屋の外でガチャ、と音がした。
布団から顔を出して耳を澄ませると、足音が近付いて急に部屋のドアが開いた。
お盆を持ったあなたが入ってくる。
手元の画面をスクロールして確認すると、確かにそう打っていた。
寝る前に送ったのか…
そう言って水を渡してくれる。
こんな僕には君しかいないな
と笑えてきた。
乾いた体にコップ一杯の水を与える。
口を開けてアピールしてみた。
今日は目一杯甘えさせてください
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。