よく晴れた、ある日の事だ。
あたしは波蝕の島を離れて、
飛行島に来ている。
ネロに言われた通り、今日は後々に
後継者としての修行が待っている。
あたしは、あの激闘の後から、
「自分にケンセイの想いを
引き継ぐ事が出来るのか」という
疑問に、頭を悩ませていた。
1度ならまだしも、何度も降りかかってくる。
ずっと、この疑問が頭を駆け巡っていた。
そんな時、冷静そうな声がした。
やはり、とは思っていたけど、
それはヴァイスだった。
こんなタイミングで偶然会うんだから、
きっとヴァイスにも、
何らかの事情があるんだろうと思っていた。
ヴァイスの思考は謎すぎて、よく分からない。
普段がこれでも、戦闘の時は
別人のような感じになるから、
ヴァイスにはいつも驚かされる。
時間とかに厳しいネロが
こんなに遅いなんて考えられない。
ここではヴァイスとも意見が一致した。
この時間が暇だと感じたあたしは、
ヴァイスと話す事にした。
闇の王子(闇の後継者)の事とか、
ネロの事とか。
色々な事を話した。
こういう時のヴァイスだけは、
あたしの仲間なんだって実感する。
戦闘の事しか考えてないのが、
逆に気がかりではある。
話に熱中していたら、ネロが戻ってきた。
ここからは修行なんだから、
気を引き締めないと。
そうじゃないと、ネロに怒られる気がする。
ネロだけじゃなく、ケンセイにだって。
ネロの厳しい指導が始まった。
今までと何ら変わることの無い、
いつも通りの指導。
でも、その指導には愛情が隠れている。
あたしとヴァイスを、「闇の王の後継者」に
育てたいって思う、ネロらしい愛情。
アマリアに似ている指導だ。
あたしはこれをよく知っている。
あたしは、ケンセイから託された想いを
背負わなきゃならない。
それは難しい事なのかもしれない。
けれど、あたしはもう迷わない。
あの時のおかげで、大切な事に気づけたのだから。
あたしの進むべき道を示し、
覇道を貫いて、あたしを守ったケンセイ。
昔からあたしを育て、
今を作ってくれたアマリア。
そのアマリアを引き継いで、
あたしを指導してくれているネロ。
あたしを育ててくれている人のため。
あたしは、これからも強くなるんだ!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。