太宰が揶揄う様に笑う
太宰が苦笑する
ギィィ
扉が不気味な音を立てながらゆっくりと開いていく
開き始めると太宰の顔から笑顔が少しずつ消えていっているような気がした
太宰が黙り込む
見かねた相澤が太宰に問いかける
その表情はいつも何ら変わらぬ胡散臭さが残る笑みだったが
その笑顔からは感情が読み取れ無い
その場に静寂が佇む
その静寂を切り裂いたのは…
他ならぬ太宰だった
その瞳は真っ直ぐ前を見据えていた
その瞳の中には
赤髪のまだ幼さが残った顔立ちをしている女性が太宰達を隔てる分厚いガラスの向こう側にまるで眠っているかのようにひっそりと座っていた
その脳無は他のモノとは違いまるで何も改造されていないかのように人の形を保ったままだった
相澤が瞠目する
其れには太宰の「私が殺しても良いか」と言う発言に対してもあったが、
其の言葉の自然さにも驚きを隠せていなかった
「殺す」…其れはどの場面でも異様に飛び出で聞こえるような言葉
だが、太宰が口にした時其れは極自然に…
まるで日常的に使うの言葉の様に自然に発せられていた
何時もと変わらぬ笑みを貼り付けた顔を見た相澤はその瞳に狂気を孕んでいるように思えた
感情の籠らぬ声色と有無を云わさぬその瞳に相澤は
そう答える他に選択肢は無かった
太宰がガラスに近付く
手をガラスに添える
パキパキ
簡単には壊れない筈の分厚いガラスの壁がいとも簡単に
太宰の掌を中心として亀裂が入って行く
パリンッ
遂にガラスが耐えられなくなり砕けてしまう
自身に降りかかるガラスの破片には目もくれず太宰は机の上に足をかけ
そしてそのままゆったりと歩いていく
ウィーン
個性を使ったことにより天井に着いている銃が一斉に太宰の方を向く
ガシャガシャン
先程太宰が砕いたガラスの破片が何時の間にか銃に突き刺さっており次々と地面に吸い込まれて行く
太宰が脳無…
否
ルーシーの額辺りに手を当てる
そして…
グチャッ
肉が潰れる嫌な音が辺りに響き渡った
ビタビチャッ
鮮血がその場に飛び散り鉄の匂いが充満し、白い部屋を深紅に染めあげて行く
太宰がゆっくりと腕を下げ
ゆったりと振り返った太宰には至る所に血が飛び散っており不吉な柄が浮かび上がっていた
顔に巻いた包帯が血濡れ、緩くなっていた
コツ,コツ
足を踏み出す度に其の振動により段々と緩みが酷くなっていった
ハラ
太宰の包帯が遂に緩み切り隠されていた左目が顕になる
しかし
既に相澤の横を通り過ぎており顔を見ることは叶わなかった













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。