梅雨も終盤に差し掛かった頃。
毎年の学校生活で最も極悪イベントの時期がやって来ました。
そんなことを言っているうちに昼休み終了の予鈴がなった。
反対方向にある自販機へとダッシュで向かう。
(ドンッ)
綾乃くん。同じ学校だったんだ。
だから瑠衣もここに来たのかな?
何とか解けて一安心。
考え事なんて柄じゃないけど、綾乃くんに関しては別問題だよね。
綾乃くんも私と瑠衣の幼なじみ。
私は保育園の時に、綾乃くんに初恋を奪われた。
小6の時、東京へ引っ越すことになった綾乃くんに告白をした。
そんな過去、とっくに忘れていたはずなのに。
まさか再会するなんて、思ってもみなかった。
でも、背が伸びていて、声も低くなっていて。
かっこよさが倍増していた。
男の人 って感じに成長していた。
また惚れそう…なんて、一度振られてるのに未練がましいよね。
諦めなんて、振られた時点でついてるから。
あんなにカッコイイ人なんだもん。
彼女くらいいるよ。私なんて昔以上に目に入らない存在なんだろうなあ。
頭の中が綾乃くんでいっぱいになってきた。
どうしよう。授業なんて耳に入ってこないよ!?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。