っていうか、よく見たら與くん、すっごくチャラチャラしてるよ?
制服は着崩してるし、茶色い髪も染めているだろうし。
地味に生きてきた私とは住む世界が違うっていうか、こういうチャラチャラした人、ちょっと苦手……。
それにこの人、さっきあんなに可愛い子をフッてたのに、私なんかになんの用だろう?
ま、まさか……恐喝ってやつですか!?
恐ろしい想像にアワアワしてると、頭上から笑い声が降ってきた。
な、なにしてたって!?
『告白を聞いてしまいました』なんて、そんなこと本人のまえで言えないし……。
だけどここは謝るべきだよね?
故意じゃなかったとはいえ、悪いことをしちゃったことには変わりないもの。
泣きそうになりながらいきなり頭を下げた私に、與くんが驚いているのが、頭をあげなくてもわかる。
與くんは察してくれたみたい。
告白なんて人生の大勝負、私だったら誰かに見られたくないもん。
私ったら、なんてタイミング悪いんだろう。
ガックリうなだれていると、いきなりおでこにツンとした痛みが走った。
へっ……?
それが與くんにデコピンされた痛みだと気がつくのに、時間はかからなかった。
いきなりのデコピンに真っ赤になった私の顔を、目の前の與くんが、のぞき込む。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。