…………って!
私ってば何言ってるんだろう!
浮かれすぎてたせいで、へんなこと言っちゃった!
我に返って、ひとりで恥ずかしくなる。
ほら、與くんだって目を見開いて驚いた顔をしてるじゃん!
でも、與くんの頬はいつの間にか、ほんのりと赤く染っていて。
それを隠すように、口元に手の甲を当てている。
わー!
いろんな情報が一気に入ってきて頭の中がグルグルするー!
そんな私の頭を、ぽんぽんと優しくなでる與くん。
何度も教えてくれるってことは、これからも友達でいてくれるってことだよね。
改めてそのことが分かると嬉しくて思わず笑顔をこぼすと、與くんがニヤッと笑った。
不意打ちの甘い攻撃に、ポっと火がついたように、熱を持つ頬。
私が可愛いなんて、ありえない!
軽い冗談だなんて、分かっているのに。
ほら、與くんは女の子にそういうこと言うの、慣れてるだろうし…………?
それにお世辞でも、私が可愛いなんて言われたら、天と地がひっくり返っちゃう!
慌てて否定する私に、與くんがそう言って困ったように笑う。
え? 鈍感? 天然?
みさちゃんにも言われたけど、與くんにも言われちゃうなんて!
私ってば、鈍感&天然だったの…………!?
首をかしげて私の顔を覗き込み、なんだか怪しげに微笑んで、そう呟いた與くん。
でも私は、発覚した衝撃的事実を引きずっていたせいで與くんの言葉の意味が分からなくて。
気づけば與くんスマイルをお見舞されてしまう。
なんだか上手く誤魔化された気もするけど、まぁいっかぁ!
だって、與くんの笑顔がなぜかキラキラ輝いているんだもの。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!