注意が止まらなくなってしまいそうな友人の手を、そっと握る。
そう言いながらも、まだどこか不安げなみさちゃん。
こんなことを思ってしまうのは不謹慎かも知れないけど、みさちゃんが心配してくれる事が嬉しくもあるんだ。
この高校には、私の出身中学校から来た人はほとんどいない。
もちろん、このクラスに同じ中学の人はいないわけで。
だからこそ、2週間遅れの入学で友達が出来るか、入院している時からずっと不安だった。
だけど、休み時間にみさちゃんが
って声をかけてくれて、そんな不安はあっという間に払拭されたんだ。
昨日出会ったばかりなのに、もう友達。
みさちゃんのおかげで、不安に感じていた高校生活が、一気に明るくなった気がする。
だからね、感謝してもしきれないくらい、みさちゃんには感謝してるの。
私はスマホを握りしめ、みさちゃんに勢いよく抱きついた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!