諸岡が帰って、しばらくした時…私は息苦しくなって座り込んだ。
“ちょっと良いですか?変わります…
嶋川さん…分かりますか?分かったら手握って下さい”
私は握り返す。
“意識は、はっきりしているので大丈夫です。少し休ませてあげて下さい”
私は仮眠室で休む事になった。
“嶋川さん、心臓…”
“さっき嶋川さんは、私の素性は言わなかったんですが…私医師免許持ってます”
“はい…私医師免許以外にも、資格を取得してます。それも嶋川さんのおかげです”
稲葉は…あの事件の時の被害者家族の1人…あの事件で両親は、稲葉を残して自殺した。その時に、ずっと寄り添って来たのが、嶋川だと言った。
“大丈夫です。私は嶋川さんが居なかったら、どうなっていたか分かりません。あの時、嶋川さんは、忙しい中、時間を割いて私の事を面倒見てくれました。その時、資格を取得しろ!と…持っていて邪魔にはならない。逆に役に立つから…って。今こうして嶋川さんに恩返しが出来る事は私にとって嬉しい事です。あの時、助けて頂いたんです。だから今度は私が助けてる番です!”
“おそらく疲れが溜まってます!最近、あまり寝てなかったはずです。今すぐに、どうこうって事はありませんが、この薬は必ず飲ませて下さい”
ごめんなさい!また一旦切ります!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!