ぱくぱくとご飯を食べ進め、皿が空になり、私は手を合わせて「ごちそうさまでした」とつぶやいた。
タメ口を話していたのに気づいて、慌てて敬語をかぶせた。
初めてなーくんと呼んで少し照れている私とは反対に、なーくんは余裕な笑みを浮かべた。
うっ、この人のこーゆーとこ苦手だぁ…。
感情が読み取れないとこ…。
門を出、図書館へと小走りで向かった。
{ドンッ}
慌てていると、誰かにぶつかった。
聞き覚えのある声に、私は顔を上げた。
えっ、嘘でしょ…!騎士さんに見られてたなんて…!!
騎士さんは子供を見守るような優しい笑顔で言った。
うう…この笑顔。
やっぱり私のこと子供だって思ってるんだなぁ。
騎士さんのこと気になってるのに…。
冷たく言い放ち、私は早足でその場を去った。
これじゃ私、騎士さんに八つ当たりしてるみたいじゃん。
はあ…最低だな、私…。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!