第171話

148話
60
2026/02/22 14:42 更新
鈴楼視点
目を開くと、真っ白な天井が目に入る
病院だ、と、理解するのに時間はかからなかった
口元には酸素マスクのようなものがつけられ、腕には点滴もつけられているようだった
窓の外はサンサンと太陽が輝いている
そういえば、あと一週間もしないうちに夏休みか
ときの流れってもんは早いな
ガラガラガラ
星花 羽咲
星花 羽咲
!れるち、っ!!
水星 鈴楼
水星 鈴楼
んぁ、羽咲くん
帰ったと思っていた彼は帰っていなかったらしい
彼の後ろには、ないこ先輩もいて、二人して駆け寄ってきてくれた
自分は動けないんだから、どこにも逃げへんのに…w
星雲 ないこ
星雲 ないこ
よかった…吐血したときは終わったと思ってた…
水星 鈴楼
水星 鈴楼
あはははは…
気まずいわ
そうやん、鈴楼、先輩の目の前で吐血したんやわ
そりゃ終わったって思うよな
星花 羽咲
星花 羽咲
ほんとにびっくりしたんだからね?!
星花 羽咲
星花 羽咲
急に走り出したと思ったら子供助けて、事故にあって、相手に責められてて!
星花 羽咲
星花 羽咲
情報過多だよ!情報過多!
わぁぁぁっと、まくしたてるかれに「ごめんごめん」と軽く謝りながら体を起こす
二人は、あたふたしてた()
そんな心配しなくても大丈夫やって()
水星 鈴楼
水星 鈴楼
で、今何時?
星花 羽咲
星花 羽咲
このバカ鈴楼が
鈴楼が平然と聞くと、思いっきり顔をしかめて罵倒された
それはそれでひどないか???
水星 鈴楼
水星 鈴楼
そんな怒らんといてや、あんまま行ってたら、ホンマにあの子轢かれとったって
星花 羽咲
星花 羽咲
だからって、鈴楼さんが轢かれていい理由にはなんないから
水星 鈴楼
水星 鈴楼
こわw
圧をかけながら言ってくる彼が、どこかおかしくて、笑いながらいえば「笑ってんじゃねぇよ」とまた怒られる
星雲 ないこ
星雲 ないこ
でも、ほんとに危ないことはしちゃだめだよ?
星雲 ないこ
星雲 ないこ
今回は大事になんなかったからよかったけど…
星雲 ないこ
星雲 ないこ
…最悪、死ぬこともあるんだから…
斜め下を向きながら、右手で左腕を掴んで言うないこ先輩にただならぬ雰囲気を放っていた
なにか、事故関連で昔あったのだろうか
水星 鈴楼
水星 鈴楼
すいません…
そんな彼に、もちろん羽咲くんのように、ふざけることはできなかった
素直に言うと、少し困ったように笑う彼が、やっぱりなにか背負っている感じだった
星雲 ないこ
星雲 ないこ
起きてしまったことはしかたがないけとね、ほんとに、気をつけるんだよ
星雲 ないこ
星雲 ないこ
羽咲氏の言うとおり、れるちだったら、轢かれていいとかじゃないんだからね
星雲 ないこ
星雲 ないこ
もっと自分のこと大切にしな
水星 鈴楼
水星 鈴楼
先輩の言葉に、少しあいていた口を閉ざした
「もっと自分のことを大切に」
そんなこと、初めて言われた
周りが、鈴楼にかける言葉はいつも期待ばかりで
鈴楼自身を心配するものなどなかった
だから、自分がどうなったって、周りは気にかけない
むしろ、怪我などで休むことは許されない
自分に求められてたのはいつだって
"自分を犠牲にしてでも、周りの役に立つこと"
"自分ではなく、周りを優先すること"
"自分のことは考えないこと"
そんなことばかりだった
星雲 ないこ
星雲 ないこ
スリ難しい?
水星 鈴楼
水星 鈴楼
俯かせていた顔を覗き込むようにしながら、鈴楼の頬にふれ、優しい声で問うてきた
星雲 ないこ
星雲 ないこ
…難しく考えなくていいからね
星雲 ないこ
星雲 ないこ
大切にしてほしいのはほんとだけど、今回れるちがやったことは立派なことでもあるから
星雲 ないこ
星雲 ないこ
これから、大切にしていければいいよ
優しくて柔らかい笑みが、心にしみるようだった
ないこ先輩
いつか
いつか、僕も、あなたのように笑えるようになるんでしょうか

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