第22話

最終話
701
2021/03/14 12:32
あの後、二人で達也くんの家に行って、今までのことを打ち明けた。セフレだったこと、何度もすれ違ったこと、恋人になったこと、これからかけてしまうであろう迷惑のことも全部。それからずっと心配をかけてしまっていたことを謝った。
達也くんはあまり驚かなかった。笑いも怒りもせず、ただ俺たちの話を聞いてくれた。
晴人
晴人
世間体もあるし、ノンラビのことを考えたら、付き合わない方がいいんだろうけど…
太我
太我
何度も考えて、それでもやっぱり諦められなかった
きっと否定されるだろうと思った。ダメだと言われたら、考え直せと言われたら。それでも、どれだけ時間がかかっても、二人で達也くんを説得しよう。太我とそう話し合った。それが達也くんへの誠意だと思った。
だけど、俺たちの話を聞き終わった達也くんの第一声は、「いいんじゃね」だった。
達也
達也
お前ら考えすぎなんだよ。好きなら付き合えばいいやん
晴人
晴人
えっ…でも、
達也
達也
そんだけ本気なら周りにバレないように俺も協力するし、まあバレたとしてもしょうがないんじゃない?俺からしたらいつまでもお前らが元気ない方がよっぽど迷惑だし
唖然とする俺たちに、達也くんは「話ってそれだけ?」と言い、さっさと俺たちを追い出した。
達也
達也
曲の提出期限近いんだよ…明日動画撮る前に今後のこととか話すから、早めに来い
多くを言わないのもあっけらかんとしているのも達也くんなりの優しさだろう。
帰り道、太我が「実はさ」と呟くように話し始めた。
太我
太我
ハルは心配してたけど、俺は達也くんは否定しないんじゃないかって思ってたんだよね
晴人
晴人
そうなの?
太我
太我
うん…俺、達也くんに、一回話聞いてもらってるんだ
晴人
晴人
!!そうだったんだ…
太我
太我
達也くんと話してなかったら、多分ずっと逃げてたと思う
太我の顔を見上げたら、太我も俺を見ていた。太我が俺の手をきゅっと握る。
太我
太我
ちゃんと向き合わなくてごめん
晴人
晴人
………そんなの、俺だって…
達也くんにはいっぱい迷惑をかけてしまった。達也くんがいなきゃ俺たちはお互いに逃げてばっかりだった。改めて、彼には感謝しなきゃいけないなと思う。

お互いにそれ以上話すこともなく道を歩く。
人通りのない道に出たとき、ふと太我が足を止めた。俺と向き合い、握る手に力を込めてくる。
太我
太我
ハル
晴人
晴人
うん
太我
太我
……俺は、ダメ人間だと思う
晴人
晴人
ど、どうしたのいきなり…
太我
太我
だけど、ハルのこと幸せにできるように、頑張るから…これから、よろしくお願いします
晴人
晴人
………!うん!
太我
太我
もう絶対逃げないし、ハルのこと泣かせない
晴人
晴人
うん……
太我
太我
……もう泣いてるし…
晴人
晴人
これは嬉し涙だからいいの…
俺の涙を指で拭ってくれながら、太我は優しく笑った。
こんな日が来るなんて夢みたいで信じられない。
太我にゆっくりと抱きしめられる。
太我
太我
ハル………大好き
晴人
晴人
俺も…太我、大好き
太我の胸に顔を埋める。

あの日、太我に告白した日、告白なんかしなきゃよかったって心から後悔した。苦しくて悲しくてどうしようもなかった。
俺たちは、今日やっと進めるんだ。

手を繋ぎなおして俺たちはまた歩き始めた。三月の、少し冷たい夜風が、火照った頬を掠めた。

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