この前ルミネに行ったときに太我と2人で撮った写真を見つめる。久しぶりに2人で写真を撮った。太我は俺の隣で真顔でピースしている。ただ写真を撮っただけなのにすごく嬉しい。最近、なぜかあいつ相手にドキドキしてしまうことが多い。
これじゃあいつのこと好きみたいじゃないか。
そんなわけない。たしかに他の友だちよりも太我は特別だけど、体の関係も持ってしまっているけど、でも恋愛感情なんてものはない。ないに決まってる。
俺たちはほんとは女の子が好きで、だからこの関係も彼女ができるまでという制限時間があるんだ。彼女がいないから男同士でセックスなんかしてるんだ。
それだけだ。好きなわけじゃない。
でもじゃあなんで、あいつに心配されてあんなに嬉しかったんだろう。
なんであいつに手を引かれてドキドキしたんだろう。
なんで体だけの関係がこんなに悲しいんだろう。
好きなのかな。
でも好きでもどうにもならないじゃないか。
じゃあ、やっぱり好きなんて思い過ごしってことにした方がいい。フラれるってわかってるんだから。それにほんとに思い過ごしかもしれないんだから。
そう考えても、太我が「はる」って言って笑ってる顔が頭から離れなくて、なんだか泣きそうになった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!