太我の家に着いたら、編集中だった。
言われた通りソファに腰掛け、テレビをつける。自分の家のようにくつろぐ。実際太我の家には、セフレになる前からよく遊びに来てたし、もう自分の家のようなものだ。
編集が終わったのか、腕を伸ばしながら大きく息を吐く太我をぼーっと見る。
こいつはこんなにイケメンなのに、今から男とセックスするんだ。
テレビをつけたままベッドに移動。どちらからともなくキスをする。前戯、そしていつのまにか入れられる。
うなずくと同時に太我が果てる。俺もイく。悲しいことに、もうチンコを弄らなくてもケツだけでイケてしまう。
ここまでなるのに色々あった。最初は「どうせやるならきもちいほうが得」くらいの感覚で、オナニーのたびに自分で後ろをいじった。まさかここまで開発されるとは…
シャワーを浴び、太我の隣にもぐる。ベッドが一つだからしょうがないんだけど、元親友とセックスしてそのまま同じベッドで寝るとか、いつまでたっても虚しい。
太我はもう寝てるかと思いながらも言ってみたら、起きてたようで、「なんで」と低い声が返ってきた。
バカにしたように笑われる。
ムカついて枕がわりのクッションで太我の顔を叩いたら、太我は痛え、と笑った。
気にしてるのに!
そう言ったら太我はさっきよりも大きく口を開けて笑った。
俺もつられて笑った。
クッションやら枕やらでお互いを叩き合う。
太我も、俺も笑っていた。
親友だった頃に戻ったようだった。
たまにこういうことがあると、俺はいつまでもこのままでいたいと思う。
朝が来て、家に帰ったら、次太我と会うのは仕事かセックスのときだ。親友としてなんて会えないから。俺たちはセフレだから。
そう言いながらベッドを降りる太我の背中を見つめた。
また親友に戻りたかった。
いつまでも朝が来て欲しくなかった。
今はただ、それだけだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!