第18話

18(太我side)
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2021/03/10 08:01
達也
達也
ハルが好きなんだろ
隠し続けてきた気持ちを言い当てられ、俺はしばらく固まっていた。

動揺とか焦りとか疑問とか、いろんなものが脳の容量を圧迫する。
達也くんは何も言わないで俺の返答を待つ。何か言わなきゃと思うけど、ノドが異様に乾いてうまく声が出せない。
太我
太我
……………な、んで
ようやく絞り出せた言葉はそれだけだった。
達也
達也
見てればわかる…ハルほどわかりやすくはなかったけど
太我
太我
どこまで………
達也
達也
まあ、両片思いなんだろうなあとは
さすがにセフレだったことは気づいてないか、と一瞬ほっとしたが、だからと言って別に状況が好転したわけではない。
同性が好き、なんて、どう思われるだろうかという不安と恐怖が込み上げてくる。
ハルも俺に告白してきたとき、こんな気持ちだったのだろうか。
達也
達也
……予想だけど、ハルから告白して、お前がフった………?
太我
太我
………うん
達也
達也
……………両思いなのに?
太我
太我
だって、どう考えてもバンド続ける上で障害にしかならないじゃん
達也
達也
………
太我
太我
ファンにバレたら大変だし、スタッフにも迷惑かけるかもだし
達也
達也
………
太我
太我
ハルはそういうの何も考えてないけど絶対そうじゃん、そうだよね?
達也
達也
………それ誰に、何に対しての言い訳?
肯定してほしかったが、達也くんはそうしてくれなかった。今の俺には重すぎる言葉だ。視線が痛い。でも、たしかに言い訳かもしれないけど、紛れもない事実でもあるじゃないか。
達也
達也
ハル?俺?
太我
太我
いや、
達也
達也
俺は何も言わない
達也くんはきっぱりと言い放った。缶ビールをテーブルに置き、腕を組む。
達也
達也
俺がなんか言って、それで俺の意見がそのままお前の答えになったら嫌だから。それじゃお前は逃げたままだし
太我
太我
そんなこと…
達也
達也
逃げてるだろ、今まさに
達也くんに睨まれる。
達也
達也
そもそもお前がハルをフったことが正しかったかどうかとか、お前がこれからどうすべきだとか、そんなの俺には判断できない。だから何も言えない。だけど、これだけは俺でもわかるから言うけどな、
太我
太我
………
達也
達也
お前の言い訳の相手は全部自分だろ。好きで、今だってその気持ちを忘れられないくせに、ハルをフるべきだって、そう言える理由をわざわざ探してるんだろ
頭がグルグルする。
ずっと付き合っちゃいけない理由を探していた。

どうして肯定してくれないの。
こんな気持ちなかったことにする方がバンドのためになるんじゃないのか。
いまさらなんて言えばいいんだ。
俺はこれからどうするべきなんだよ。

達也くんは何も答えてくれなくて、俺は目眩を感じた。

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