彼女からLINEが来た。
短すぎるやり取りで俺たちの関係は終わった。
彼女が別れたいと思った理由は明白だった。クリスマスからずっとギスギスしていたのだ。彼氏が自分より友だちを優先することを良く思わないのは、まあ当然だと思う。
布団に寝転がる。
なんのために彼女なんか作ったんだろう。彼女のことも、ハルのことも傷つけて、俺は何がしたかったんだろう。
翌日、二人に彼女と別れたことを話した。
ハルは黙ってその会話を聞いていた。
誕生日が終わってから、ハルはほぼ完全に以前のハルに戻った。「吹っ切れるようにする」と言っていたのは本当だったのだろう。俺に対して気まずそうにすることも、避けることもなくなった。ハルの爽やかな笑顔には俺への未練なんて全く感じられない。それが寂しいのは俺が最低だからだ。
ハルは、俺が別れたことをどう感じているのだろう。
できるだけ軽い口調で聞いた。こんなことをハルに聞くなんて酷いと思う。でもハルがどう感じているのか少しでも知りたかった。
なんてことない会話。この質問にも反応しないとか、本当にもう俺のこと、なんとも思ってないんだろうなあ。
いいことのはずなんだけど。
帰り際、達也くんに「俺はわかるけどな」と言われた。
ハルは不思議そうな顔をした。達也くんがなんのことを言っているのかわかっていないんだろう。でも俺は図星をつかれた気分だった。達也くんは気づいているのだろうか。
ハルの問いには答えないで車に乗り込んだ。
窓越しに、ハルの不思議そうな表情が見えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。