第16話

16(太我side)
602
2021/03/02 11:57
彼女
彼女
別れたい
彼女からLINEが来た。
太我
太我
わかった
短すぎるやり取りで俺たちの関係は終わった。
彼女が別れたいと思った理由は明白だった。クリスマスからずっとギスギスしていたのだ。彼氏が自分より友だちを優先することを良く思わないのは、まあ当然だと思う。
太我
太我
あーあ
布団に寝転がる。
なんのために彼女なんか作ったんだろう。彼女のことも、ハルのことも傷つけて、俺は何がしたかったんだろう。
翌日、二人に彼女と別れたことを話した。
達也
達也
早くね?可愛いって言ってたのに
太我
太我
まあいろいろあって
達也
達也
どっちからフッたん?
太我
太我
向こう
達也
達也
へ〜珍しい
ハルは黙ってその会話を聞いていた。
誕生日が終わってから、ハルはほぼ完全に以前のハルに戻った。「吹っ切れるようにする」と言っていたのは本当だったのだろう。俺に対して気まずそうにすることも、避けることもなくなった。ハルの爽やかな笑顔には俺への未練なんて全く感じられない。それが寂しいのは俺が最低だからだ。

ハルは、俺が別れたことをどう感じているのだろう。
太我
太我
ハルは?
晴人
晴人
え?
太我
太我
なんで俺フラれたんだと思う?
できるだけ軽い口調で聞いた。こんなことをハルに聞くなんて酷いと思う。でもハルがどう感じているのか少しでも知りたかった。
晴人
晴人
え〜知んないよ、なんか酷いことでも言ったんじゃないの
太我
太我
ないない、俺ハル以外には優しいから
晴人
晴人
ひどくない?
なんてことない会話。この質問にも反応しないとか、本当にもう俺のこと、なんとも思ってないんだろうなあ。
いいことのはずなんだけど。
帰り際、達也くんに「俺はわかるけどな」と言われた。
達也
達也
太我は中途半端なんだよ
ハルは不思議そうな顔をした。達也くんがなんのことを言っているのかわかっていないんだろう。でも俺は図星をつかれた気分だった。達也くんは気づいているのだろうか。
晴人
晴人
さっきのどういう意味だったんだろうね?太我わかった?
太我
太我
さあ
ハルの問いには答えないで車に乗り込んだ。
窓越しに、ハルの不思議そうな表情が見えた。

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