第20話

20(太我side)
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2021/03/14 02:50
晴人
晴人
蹴るの強すぎだって!
太我
太我
ごめんごめん
日曜日、俺たちは二人で公園に来た。

達也くんと話した次の日、俺はハルにLINEした。もちろん真意は伝えず「一緒にでかけたい」とだけ言い、ハルはなんの疑問も持たずそれを了承した。
晴人
晴人
でもさ〜でかけようって言うからまたルミネかなって思ったら、まさか公園とは
太我
太我
サッカーしたくて
晴人
晴人
高校のチームメイトとか誘えばよかったのに。俺ヘタだよ?
そう言いながらハルはボールを蹴った。案の定変な方向に進んでいく球を追いかけながら答える。
太我
太我
いいよ、ヘタなハル見るの楽しいから
晴人
晴人
うざっ
太我
太我
それにここ釣り堀あるんだよ。お前釣り好きじゃん
晴人
晴人
好きだけど〜それより太我んち行きたい、最近引っ越したじゃん
太我
太我
じゃあもうちょっとやったらうち来る?
晴人
晴人
え、いいの?行く行く
相変わらず変な方向にボールを蹴りながら、ハルは目を輝かせた。その表情に「好きだから二人になりたい」という意図は全く見えない。純粋に気になるだけなんだろう。あれだけ辛そうだったくせに、俺への恋心なんてものはすっかりなくなったらしい。
太我
太我
ハルはやっぱり前向きだね
晴人
晴人
え、なにいきなり。まあそうだとは思うけど
ハルは不思議そうに笑った。





晴人
晴人
うおー新しい太我んち!荒らそう!
太我
太我
やめい
軽くこずくとハルは楽しそうに笑った。昔はこんなやり取りだけで十分幸せだった。
部屋を見て回るハルの背中を眺める。後ろから抱きしめたら驚くかな。それとも嫌がるだろうか、怒るだろうか。付き合ってたら今すぐ抱きしめるんだけど。
まあこんなこと考えるのも今日で最後だ。
晴人
晴人
さすがに引っ越したばっかだしきれー、何日で足の踏み場なくなるかな
太我
太我
失礼すぎん?
晴人
晴人
ほんとのことじゃん
ニヤニヤ笑うハル。
ああ、ほんとに好きだなあ。
太我
太我
ハル
ゲームのコントローラーを渡す。
太我
太我
久しぶりにやろうよ
ハルをソファに座らせ、その隣に腰掛ける。肩と肩がくっつく距離。あの日と同じ距離。
「近すぎだよ、ゲームできないよ」と抗議される。
今日で最後だからできるだけくっつきたいんだよ、なんて言えないので、何も言わず笑いかけた。
晴人
晴人
……!?え!?
びっくりしているハルを尻目にゲームを起動する。
晴人
晴人
太我がキモい…
太我
太我
うるせえよ
晴人
晴人
ねえ腕あたるってば
太我
太我
お前もっとそっち行けよw
晴人
晴人
太我がズレてよ!w
言葉とは反対に腕をグイグイ押し付けてくる。なんでもない会話が続く。
距離が近すぎて何度も腕がぶつかる。そのたびに目を合わせてクスクス笑いあった。
ハルが腕を押し付けてくるたびに、ベッドでのハルを、ルミネで手をひいたことを、誕生日の恋人繋ぎを思い出す。
一緒にいるだけで、こいつが好きで好きでどうしようもないことを自覚する。
ほんとに忘れられるんだろうか。吹っ切れられるのだろうか。
晴人
晴人
んあーまた負けた!
太我
太我
ヘタすぎだろまじで
晴人
晴人
近くて操作しづらいんだもん
ハルに視線を移す。
その体温を焼き付けるように、いっそう身体を近づけた。

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