第23話

後日談1
551
2021/04/03 08:32
達也
達也
とりあえず人前ではイチャつかないようにね
恋人になった旨を達也くんに報告した次の日、改めて今後について三人で話し合った。
達也くんの言葉に、俺と太我は顔を見合わせた。昨日帰り道で手を繋いでしまったからだ。さっそくやらかしたのが顔に出てたんだろう、達也くんはニヤッと笑った。
達也
達也
バカなお前らのことやし、昨日は浮かれて手の一つや二つ繋いだことだろう
太我
太我
すみません…
晴人
晴人
つい…
達也
達也
まあ気持ちはわかるし、これから気をつければいいから
結局、スタッフにもとりあえずは黙っていようということになった。秘密を知る人は少ないに越したことないし、こっちもバレないようにより慎重になれるから。
話し合いと、それから元々予定していた撮影が終わった帰り、太我の家によった。「彼氏」の部屋だって意識したら、昨日来たばっかりなのに変に緊張してしまう。
隣同士ソファに腰掛ける。沈黙が気まずい。俺ら、今まではどんなふうに話してたんだっけ。
太我
太我
………ハル
晴人
晴人
!な、なに…?
太我
太我
えっと…あー、手を、繋いでも…イイデスカ
晴人
晴人
…なんでカタコトなの
手を出したら、おそるおそる握られた。昨日はあんなに自然に繋いだのに、変なの。太我も緊張してるんだ。
ぎゅっと力を込めたら、太我の肩がわかりやすく跳ねた。面白くて力を込めたり緩めたりを繰り返す。その都度太我がびくびく反応して、なんだか理科の実験みたいだ。
晴人
晴人
ふっ、あはは!お前緊張しすぎでしょ!w
太我
太我
だってさあ
晴人
晴人
前はもっとすごいことしてたのに
太我
太我
うるせえよ意識しちゃうんだよ!
晴人
晴人
可愛いなぁw
ほっぺをつついたら真っ赤な顔で避けられた。太我が俺を意識してる。こんなに嬉しいことってあるだろうか。
話してたらちょっとずつ緊張がほぐれてきた。思い切って抱きついてみたら、弱くだけど抱き返してくれた。でももっと強くぎゅってしてほしい。太我を見上げたら目が合った。
晴人
晴人
ねえ、もっと強くハグしてよ
太我
太我
こう…?
晴人
晴人
もっと!そんなんじゃ俺逃げちゃうよ?
冗談のつもりだったけど、太我は苦しいくらい強く抱きしめてくれた。その顔がめちゃくちゃ焦っていて笑ってしまった。
晴人
晴人
可愛いなあ太我は
太我
太我
…お前の方が可愛い
晴人
晴人
え?
太我
太我
可愛いって
目を逸らして口をごにょごにょさせる太我。胸がきゅうってなった。こうして抱き合っていると、ほんとに太我と好き同士なんだなぁって不思議な気持ちになる。
かっこよくて優しくて、こんなに素敵な人が俺の彼氏になってくれたなんて、なんだかまだちょっと信じられないや。信じられなさすぎて不安になるな。
晴人
晴人
……ねえ太我
太我
太我
なに?
晴人
晴人
ほんとに俺でいいの?
太我
太我
晴人
晴人
俺女じゃないし…可愛くないし
太我
太我
何それいまさらすぎだろ、そんなんどうでもいいよ
晴人
晴人
すっごいイケメンってわけでもないし
太我
太我
だからどうでもいいって
太我の指が俺の唇に触れた。そのまま何秒間か見つめあって、これちゅーするやつだって気づいた瞬間キスされた。一瞬触れるだけのキス。そういえば、セックスはいっぱいしたけど、キスは初めてだ。
太我
太我
俺が好きなのはハルだけだから…
その言葉が、自分でもびっくりするくらい胸に響いた。
太我
太我
キスしたいのも、手繋ぎたいのも…全部ハルだけだから…
晴人
晴人
………すげえうれしい…
何度も何度もキスする。それだけなのに体が火照る。
今こうやって太我とキスしてて、俺たちはお互いにお互いしかいないって知ってて、人生で一番幸せで。
晴人
晴人
(ならもう、なんでもいいや)
いつのまにか不安は消えていた。今はただ、この時間が永遠になってほしい。世界中から人がいなくなって、俺ら二人しかいないみたいなこの時間が、いつまでも続けばいい。

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