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第5話

取引
羽柴 百合
羽柴 百合
あれ、貴方は…あの部屋にいた……
眞佐 勇人
眞佐 勇人
…!
先ほど同様、驚いた顔をし、後ずさる。

まぁ、今回もすぐに逃げてしまうのだろうと彼を横目で見ていると
眞佐 勇人
眞佐 勇人
貴方は………お兄ちゃんを知ってる人?
と、小さい声ながら喋ってくれた。

羽柴 百合
羽柴 百合
お兄ちゃん……??
普段あまり人と関わらない私に弟がいる人物などいただろうかと
記憶を探っていると、1人だけ思い当たる人がいた。



小学生の時に6年間一緒だった彼、眞佐 勇輝だ。

間違いない。彼は家も近かったし、ハッキリと覚えている。
羽柴 百合
羽柴 百合
もしかして、眞佐 勇輝君のこと?
眞佐 勇人
眞佐 勇人
………!そう!勇輝兄の事!
眞佐 勇人
眞佐 勇人
あ、そういえばまだ、自己紹介をしてなかったね。僕の名前は眞佐勇人。さっきも言ったけど、勇輝お兄ちゃんの弟だよ。……もう、死んじゃってるけどね。
私も自己紹介をしようと口を紡ごうとしたが、
彼が落とした爆弾発言により、何を話すのか忘れてしまった。
羽柴 百合
羽柴 百合
…死んでる……?
眞佐 勇人
眞佐 勇人
そう、死んでる。2年前にね、
この付近の横断歩道で交通事故に遭ったんだ。即死だったみたい。
羽柴 百合
羽柴 百合
…そう、なんだ……(不味いこと聞いちゃったかな…)
すると彼は察したかのように
補足した
眞佐 勇人
眞佐 勇人
あ、死んだことに対してはそんなに気にしてないから大丈夫だよ。…だけど、勇輝兄がね…
羽柴 百合
羽柴 百合
勇輝君に、何かあったの?
眞佐 勇人
眞佐 勇人
まぁ、色々ね。
羽柴 百合
羽柴 百合
そっか
彼も言いたくない事はあるのだろう。


深掘りはしない主義だ。そっとしておこう。
眞佐 勇人
眞佐 勇人
あ、そうだ。…取引しない?
と、少年相手に気を使っていると、彼は斜め前を行き、交渉を仕掛けてきた。
羽柴 百合
羽柴 百合
取引?
眞佐 勇人
眞佐 勇人
そう、取引。君、ここで友達を探してるんでしょ?
その子の場所を教えてあげるから、お兄ちゃんを助けてよ
羽柴 百合
羽柴 百合
あ…
それは、私にとって、とてもよい取引だった。
交渉を受け入れるだけで麻弥を助けられるなんて。



正直な所、この館は広過ぎる。
流石に1日で彼女を見つける事は不可能と思っていた。
早く見つけ出さないといけないのはわかっているが、少しだけ、諦めかけていた部分もあった
眞佐 勇人
眞佐 勇人
ね、どう?
羽柴 百合
羽柴 百合
…ちょっと待って。
なぜだろう、途端に彼が悪魔に見えたのは。



悪魔は、人の弱みに溶け込み、対象の欲望を見出し、最後に私たち人間を殺す、
死神のような存在だ。



だからだろうか。今の彼は恐ろしいほど、それに似ていた。
その声、仕草、言葉、表情。一瞬の事だったが、怖いほど、別人に見えた。
羽柴 百合
羽柴 百合
よし、分かった。
考える時間の猶予を貰った私は小さな脳をフル回転させ、
決断を下した。

そして、私が出した答えは______。
羽柴 百合
羽柴 百合
受け入れるよ。
眞佐 勇人
眞佐 勇人
あは、そう来なくっちゃ
麻弥を一早く助けたいという、なんとも私らしい願いに溺れることはわかっていたが、
唯一の友達を失いたくない自分勝手な理由が心の奥底にあったからこの決断を下した。
それに、今の自分は、今後起こるものの恐怖よりも今後直面する問題の不安の方が
勝っていたのに気付いていた。嗚呼、これが野望というやつか。



彼は歪んだ笑顔で私に微笑む。
まるで、私が取引をOKするのを分かっていたかのように。
悪魔のような雰囲気と言い、不思議な男の子だ。

しみじみそう感じていると、彼が静かに口を開いた。
眞佐 勇人
眞佐 勇人
じゃ、そろそろ行こうか
羽柴 百合
羽柴 百合
…そうだね
私の返答なんかお構いなしにスタスタと歩いて行く彼の背中をじっと見つめ、
早歩きで彼の隣へ追いつく。



噛み合わないテンポで少しずつ喋ってみるが、
歩いている時は普通の男の子のように感じた。感情は薄いけど、ちゃんと顔に出る素直な子だ。



そしてついにたどり着いたのは地下室。
こんな所があったのかと驚いていると、彼は私の入室を催促するかのように、私の手を引いた。