ジリリリリリ
朝のけたたましい音でふっと我に帰る。
カレンダーを見ると今日は月曜日。
重くなる体を動かし、朝の支度をする
=================================
ピーンポーン
麻弥とは普段からつるんでいる友達だ。
世の末でいうところの元気っ子で煩い素直な子。
ピーンポーン ピーンポーン ピーンポーン ピンポン ピンポン ピンポン ピンポン ピンポン
ドアを開けるとそこには誰もいない。
いつもは開けた瞬間に麻弥が飛び込んでくるのに。
全身に悪寒が走る。
麻弥は早く学校に行ったんだ、そう言い聞かせて足早に学校へと向かった
=================================
やっと自分の席についた私はチラリと麻弥の席を見る。
…鞄がない。欠席?遅刻?部活のミーティング?
色んな思考が脳内をぐるぐる回る。
そして一つの結論に至った。
_____今朝からの出来事は昨日の朝見た正夢と同じだ…!
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
気付いてしまった思考をかき消すかのように
朝礼を告げるチャイムが鳴る。
と、同時に担任の先生が教室へと入る。
普段は目立ちたくない私だが、友達のためなら仕方がない。
覚悟を決め、先生の声を遮りながら大声で言う
いきなりすぎて目を丸くしている先生と、どよめきながら私を見る生徒。
学校へ戻ってきたらこっぴどく叱られるだろう。
でも、そんなことどうでもよかった。
私は邪念を追い払い、一目散へと走り出した
どうして忘れていたんだ。自分への嫌悪感が募る。
昔からよく正夢を見ていた私には一つ恐れていることがあった。
それは、人が殺される正夢。夢占いだったらどんなに嬉しいことか。
だが私の場合は夢だけでは止まらず、残酷なことに百発百中当たってしまう。
…最初の犠牲者は優しかった近所のお婆ちゃんだった。
その当時から変な夢を見るようになっていたからか、両親にも言えなかった。
とても残虐で生々しく、犯行中も、あの独特な鉄の匂いも鮮明に覚えている。
あの忌々しい記憶が蘇ったからか、少しふらつくが構わず走り続ける。
すると途端に正夢の情景が思い浮かぶ。
所々抜けているが、記憶と記憶を手繰り寄せて
場所を特定する。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!