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2019/05/05

第9話

第1章 遠き日の序曲 4
メアリー
メアリー
・・・だぁれ?
くるりと振り向いた彼女は、
警戒をしている、というよりは、
驚いたような表情を見せた。

宝石のような蒼い大きな瞳がまるまると見開かれ、長いまつ毛がぱちぱちと瞬いている。

透き通るような白い肌に、幼い子供特有の、桃色に染まる頬。



ホームズ
ホームズ
(・・・まるで)
人形のようだ、とホームズはおもった。
メアリー
メアリー
あなたもヤード?
ホームズ
ホームズ
いいや。俺はヤードじゃない。
だが・・・
ホームズは自然と膝をまげ、
目線を合わせる。


近くで見ると、彼女の大きな瞳の周りが
赤く腫れているのがわかった。


彼女は泣いていないのではなく、
「人前で」涙を見せていないだけなのだ。


そんな彼女が不憫で、
そして同時に敬意の念すら抱いた。
ホームズ
ホームズ
(全く、女というものは・・・)
そんなことを思いながら、
ゆっくりとホームズは口を開いた。
ホームズ
ホームズ
安心したまえ。
俺が必ずお父上の無実を晴らしてみせる。
まだ現場も見ていないのに、
「全く俺は何を言っているんだ」と、
ホームズは言いながら自分に嘲笑した。

こんな軽率なことを言って、もし、彼女の父親が真犯人だったとき、もっと傷つけることになるとしても、この少女に、かける言葉が他にない・・・否、自分がそう言いたかったのだ。
メアリー
メアリー
あなたは、お父さまを疑っていないの?
彼女の瞳が、先ほどよりももっと見開かれた。
今度は信じられない、といったような表情で。
ホームズ
ホームズ
まだわからない。
ただ、俺はお父上が犯人だとは決めつけてはいない。
メアリー
メアリー
ほんとう?
ホームズ
ホームズ
本当だとも。

そこでだ。
真犯人を見つける為にも、協力してくれないかな?
君の力・・・正しくは記憶が必要なんだ。
メアリー
メアリー
うん!する!メアリー、きょうりょくする!
メアリーは腰掛けていた噴水のふちからぴょんと芝へ降り、ホームズのもとへ駆け寄る。
ホームズ
ホームズ
大変頼もしい限りだ。
ではまずは、屋敷の中を案内していただいても?
メアリー
メアリー
もちろんですわっ!
ホームズ
ホームズ
では、お手をどうぞ?お嬢さん。
差し出した手に、小さな手がのる。



特段子供が好きなわけでもない。
いや、むしろ煩わしくて苦手なはずだったのに。


そんなことを思いながら、
ホームズはその小さな手に導かれ、
屋敷の中へと踏み入れていくのだった。






つづく