第4話

chapter4
35
2018/10/14 13:10
「いやいやいやいや。俺が買えるから大人向け、って訳じゃないだろ。」

『まあそうですけどねえ…』


そう言ってそいつは不敵な笑みを浮かべる。


『これね。貴方さんの”感情が見える”んですよ。』


「は…?感情?」


感情という言葉に違和感を覚えるのは、俺以外滅多にいないだろう。

日常の中でまあまあ使う言葉だ。不思議に聞こえてもおかしくはない。



俺が違和感を感じているのは”感情を売る”って事。


感情の売買なんて聞いたことすらないし、ましてや見えたことも無い。


『あれ?お悩みのようで。でもまんまの意味なんですよーいやあすみませんねえ』


そう言ってそいつは頭を軽く掻く。



「…色が違うのは何故だ?」



これもまた不思議に思っていたことの1つ。

数色ならともかく、何十色もある。



『そりゃあそうでしょお客さん。感情の数だけありますから。』


『たとえ、嬉しいものじゃなかったとしても、ね。』

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