第4話
本当の失恋
BL要素を含みます。
桃君と青君です。
苦手な方はブラウザバックしてください。
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今日は土曜日。
みんな大好きな休みの日。
僕が休みの日に起きる時間は11:00をまわってる。
僕のルーティーン。
起きてから一番最初に食べるのは絶対にバナナ。
あくびをして忘れていた顔を洗うため、洗面所に行く。
別に見ようと思った訳じゃない。
なんなら見たくなかった。
僕の前には鏡。自分の顔が見えてしまう。
あぁ、思っていた通り。
昨日泣いたせいで僕の自慢のクリクリお目目は赤く腫れていた。
おまけに顔はパンパン。むくんでいる。
朝からテンション下がるなぁ…。
顔を洗うため髪を留める。
水を出すが冷たい。こんなんじゃ洗えない。
暖かい水が出るのを待つ。
ジャー
水が出る音が響く。
暖かい水に変わってきたので勢いよく顔にかける。
あったけぇ…
朝は洗顔料を使わない。
だって、乾燥しちゃうもん。
顔の水滴をタオルで優しく拭き取る。
そしたら、スキンケア。
っていっても化粧水だけなんだけど。
洗顔を終わらせて僕はキッチンにバナナを取りに行く。
家には僕しかいない。
親は共働き。朝から働いてくれている。
それでたまにあなたがご飯作りに来てくれる。
まぁ、いくら鈍感でも昨日あんなことがあったから来ないと思うけど。
ピンポーン
家のチャイムが鳴った。
正直、こんな顔で出たくない。
居留守使おうか。
とも思ったが
僕はネットで新作のゲームを買っているのを思い出した。
あれ楽しみにしてたんだよなぁ……。
しょうがない、でるか。
玄関へ早足で行く。
靴を履いて扉を開ける。
僕は勢いよく扉を開けた。
その先にいたのは、
さとみくんだった。
僕はとっさに下を向き顔を隠した。
見られたくないしね。
キョトンとしたさとみくんは僕の顔を見ようとしゃがんできた。
僕は顔を見せまいと後ろに下さがり手で隠す。
さとみくんは中に入ってきて洗面台に直行して手を洗った。そして僕のあとに続きリビングに入ってきた。
ぼくはバナナ食べてた。
そうだ。そういえば、さとみくんは昨日あなたと別れたばっかだ。
なんで、こんなに普通なんだろう。
僕は残りのバナナを口につめて急いで食べた。
そして、さとみくんの前に座る。
さとみくんは、下を見て僕を見ようとしない。
でも、顔を隠したい僕にとっては好都合。
わかってはいたんだ。
僕に心配かけないようにしてた?
さとみくんは一度深呼吸をして僕の目を見て話してきた。
さとみくんは僕の目をまっすぐ見て言った。
あぁ、ブッサイクな顔見られたな。
さとみくんの眉間にシワができた。
あぁ、図星だ。
違う、そうじゃない。
あなたは泣くほどさとみくんのことが好きだった。
答えなんてわかりきってる。
でも、聞いて確認させるんだ。
…よりを戻させるため。
別に大きい声を出したかった訳じゃない。
出ちゃったんだ。
だって、幸せな悩みじゃん。
さとみくんは辛いんだろうけど、僕の方がなん百倍も辛いんだ。
昨日あんなに泣いたのに、まだ諦められてないや。
あぁ、僕言っちゃった、?
こんな、最悪なことある?
もう言っちゃおうかな。
言ったら、楽になる…?
ねぇ、僕全然諦めてないじゃん。
言っちゃおっか…。
すっとぼけた顔をしたさとみくん。
……もう、後戻りできないな…。
今まで、絶対に言わなかった。
…いや、言えなかった。
迷惑になるんじゃないかって。
あなたとさとみくんの邪魔をするんじゃないかって。
今まで、何かと理由をつけて言わなかった。
でも、自分に勇気がないだけだった。
キモいと思われる。
今までの親友の地位が崩れる。
勝手にそんなこと考えて。
でも、たぶん、さとみくんはそんなことしない。
わかってた。
でも、怖かった。
もしものことがあったらって。
神様は、こんな勇気のない僕のことなんて、応援してくれないだろうな。
自分でもわかる。声が震えて、小さくなってる。
さとみくん、泣かないでよ。
ごめん、全部僕が悪いから。
さとみくんのことを好きになっちゃってごめんなさい。
ねぇ、泣かないで。
気づけば泣いてしまっていたらしい。
さとみくんは優しい。
ほら、こういうとこだよ。
こういうとこが好きになるんだよ。
さとみくん。ごめんね。
さとみくんがこんなことしてる場合じゃないのに。
はやく、あなたとより戻さなきゃいけないのに。
…これで、本当に諦めがつきそう。
嘘じゃない。
全部本当。
けど、僕のせいでさとみくんとあなたの幸せを奪いたくない。
さとみくんは涙を流しながら僕を見ていた。
嘘ばっか。
でも、今はこうするしかない。
ごめんね、神様。
僕、悪い子だけど、ちゃんと人の幸せ優先するから。
どうか、怒らないでね。
嘘ついてごめんね。
はやく、あなたと幸せになって。
今できる、最高の笑顔で。
優しい声で。
目の前が歪んでた。ぼやけてた。
でも、いいよ。
君の答えがでるなら。
辛いのは、一人で充分。
そう言ってさとみくんは僕の家を出ていった。
あーあ、また明日も目が腫れちゃう。
でも、いっか。
全部、言えたから。
これで、ちゃんと二人のこと応援できそう。
もう、泣いちゃダメ。
そう思ってるのに、わかってるのに。
なんで、止まってくれないんだろ。
ねぇ、なんで…。
僕の分も幸せになってね…。
さとみくん、あなた。
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