日曜日。
今日が休みでよかった。
昨日と同じように鏡を見てしまった。
ひどく腫れた目。
パンっパンな顔。
今、僕を例えるならアンパ○マンってとこだろう。
彼を好きになったこと。
想いを言ってしまったこと。
…嘘をついて、告白をなかったことにしたこと。
全部、最低。
今すぐにでも死んでしまいたい。
恥ずかしい。
こんな勇気がない自分が嫌い。
なにもできない。
二人の幸せのためなんて言い訳だ。
怖いだけ。
最低。
何が幸せだ。
人なんて皆自分のためにしか行動しないから。
まぁ、例外はいるだろうけど。
プルルルルル
スマホが鳴った。
見てみると友達の莉犬君からだった。
緑のボタンをスライドしてスマホを耳に当てる。
相手に迷惑はかけない。
心配させない。
遊びの誘いなら、断ろう。
そう思い電話に出た。
相変わらず元気で明るい奴。
少し声が高い彼は、うきうきしたように言い放った。
明後日、水曜日か。
うちの学校はつきに一度の頻度で午前授業がある。
職員会議だかなんだかで。
僕はカレンダーを見て予定を確認した。
まぁまぁ友達はいる方だから、なんとなくカレンダーは予定が入ってる。
三日後なら顔の腫れも引いてるだろ。
そう思い僕は答えた。
彼は僕が了承するのがわかっているのだろう。
楽しみだといわんばかりの声色だ。
映画なんて久しぶりだ。
基本DVDだから、楽しみ。
そう言い電話は切れた。
あんなにネガティブだったのに急にワクワクしてきた。
楽しみ。
失恋したし、友達一筋でいこうかなぁ…。
あ、よくある髪でも切ろっかなぁ…。
あ、そうだよ。髪切ろう。
ちょっと長くて邪魔だし。
ちょうどいいじゃん。
そう思い、僕は明日の放課後に美容室を予約した。
なんかいろいろ吹っ切れた。
これから、二人が仲直りする協力をしよう。
とりあえず、どうするべき?
まぁ、でも、見守るって手もあるな。
「二人の幸せが、僕の幸せ。」
なんて考え方はやめよ。
自分が楽しいって思うことが僕の幸せだ。
ね?そうでしょ?
うん、きっとそうだよ。
二人の幸せを願うのも僕の勝手。
だから、リア充爆発しろって思うのも僕の勝手な?
まぁ、結婚式では絶対に僕が友人代表のスピーチするからな。
…楽しい。
今、僕幸せだよ。
ありがとう。
絶対に直接には言わないけど。
心のなかで勝手に感謝するね。
本当に、ありがとう。
これからも、二人の喧嘩の仲裁役になるからな?
あなた、さとみくん。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。