第7話

6話。
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2022/01/17 14:15





重厚な扉の音を立て、鏡の間へと足を踏み入れる。
カツンとヒールが床を小突いた瞬間、周辺に居る人々と、新入生の先頭に居る寮長たちが、入り口を振り返った。
リドルくんの「あ、来た」という小さな声を聞く限り、多分丁度良く学園長か私の噂話をしていたのだろう。
いやでも寮長に私の噂話をされるのは解釈違いなので学園長の話ですね。寮長との関係は空気で居たい。
ディア・クロウリー
さぁ、寮分けがまだなのは君だけですよ。
狸くんは私が預かっておきますから、早く闇の鏡の前へ。
純連 あなた
えぇ喜んで鏡の前立たせて頂きます!!!
手を差し出した学園長にグリムを預け、式典服を揺らし、今にも踊り出しそうな気持ちで足を進める。
上機嫌過ぎて「なんだアイツ」という目で見られてるのは承知の上だ。
だって仕方なくない?待ちに待った寮選別だよ??私が夢女子なのみんな知ってるでしょ???
目を輝かせ、鼻息を荒くしながらも鏡の前へと到着。
自分の背丈の倍以上ある闇の鏡に見下ろされながら、望みの言葉を待っていた。

「………汝の名を告げよ」

緑の炎が燃えたぎる鏡面の中、映る仮面が低い声で問いかける。
これゲームで見たやつだ!!と内心興奮しながら、声に出さぬよう冷静に「純連あなたです」と、名を告げた。
ちょっと声が裏返ったのは気のせいだ。

「汝の魂の形は………………」

「分からぬ」
純連 あなた
…………………は?
ディア・クロウリー
なんですって……?
私と、学園長の声が重なった。
シーンと静まっていた鏡の間は一家にざわめきで満ち溢れ、皆の視線が集中して私の背中へと突き刺さった。
魂の形が分からないなんて、そんなの、監督生ルートでしかないじゃないか。
私の夢女子人生はこれで終わりという事……??

浮かれ過ぎていた所為で考えることを放置していたが、今考えると確かに監督生ルートのフラグが沢山あった。
まず私だけ唯一勝手に棺の中から出た事、グリムと出会った事、そして"日本"から来た"異世界人"だという事が、私が"監督生"である事をひしひしと感じさせていた。

「この者からは、魔力の波長が一切感じられない……色も、形も、一切の無である」

「よって、どの寮にも相応しくない」
頭が真っ白になった。
自分の地雷はある意味"監督生"という存在そのものと言っても良いだろう。その存在に、自分の地雷に、今この瞬間なってしまった。
絶望の淵に、立たされた気分だった。






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