第9話

8話。
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2022/01/17 15:12





「女性…?この学園は男子校じゃないのか?」
「確かその筈だけど……手違いってこと?」
「いやいや、100年も続く名門校だぞ?あり得るか…?」

コソコソと話す新入生たちの声が聞こえる。
自分の事を話していると視線で分かるのか、フロルちゃんは式典服の端をきゅっと掴み、顔を俯かせてしまった。
学園長に事情を説明し、鏡の間の端へと避難させて貰う。
純連 あなた
ねぇ、フロルちゃん。
貴女は望んでこの学園に来たの?きっと違う、よね…?
フロル・ヴィオラ
ち、違う……分からないの、どうして此処にいるのか、起きたら、何故か棺の中に居て………
周りが男性しか居なくて、女性は自分1人だけなんだと確信した瞬間、一気に恐怖が襲い掛かって来たという。
しかも知らないうちに連れて来られたせいで余計に怖くて、先程の影に潜み式典の様子を伺って居たそうだった。
私の事を知らない感じ、最初のグリムたちとの会話の時にはまだ眠って居たようだ。

「そっか、教えてくれてありがとう」と落ち着かせる様に頭を2回ほど撫で、手を繋ぎながら学園長の元へと歩みを進める。
「話は聞けましたか?」首を傾げる彼に、私はフロルちゃんから聞いた事をペラペラと話していった。
ディア・クロウリー
スミレくんは魔力無し、彼女は女性………
生徒選定の手違いなどこの100年ただの一度も無かった筈。
ディア・クロウリー
一体何故………
純連 あなた
あと言っておきますが私も女性です、生まれながらの女ですし!胸もありますし!!
この世界には長髪男子なんて大量だし、小柄な男子だって沢山居るが。
フロルちゃん以外が私を女だと理解して居なかった事に関しては怒りでしかない!!
確かにフロルちゃん程可愛くないし髪も長くないし儚くないが、私はれっきとした女だ。フロルちゃんぐらい丁重に扱われたい気持ちだってある。
どうせ当て馬ポジなんだから、これくらいの贅沢言ったっていいでしょう?

「スミレくんも!?……いやはや、これは失礼しました。周りの生徒たちと比べても女性には見え難く……」

ブツブツと何か呟く学園長を見て、丸焼きにしてやろうかと思った。
純連 あなた
………あれ、そういえば、学園長。グリムは何処に?
ディア・クロウリー
あぁ、少し邪魔……持つのが疲れてしまったので、部屋の隅に置いたんですよ。
ニコニコと笑みを浮かべる仮面の奥。
今絶対邪魔って言いかけただろ……なんて思いつつ、グリムの入った檻を探していた、その時だった。
グリム
そこの黒髪の人間!オマエの代わりに、オレ様を学園に入学させるんだゾ!!
オレ様はとびっきりの魔法が使えるんだゾ!!
グリムが檻から飛び出し、鏡の間の中心に立った瞬間。
リドルくんの「みんな伏せて!!」の声を最後に、周りが真っ青な火の海となった。






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