第12話

11話。
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2022/05/17 12:50





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ディア・クロウリー
さぁ、フロルさん。棺の中へ入ってください。
フロル・ヴィオラ
っ、は、はい………
純連 あなた
大丈夫だよフロルちゃん、すぐお家に帰れるからね。
フロル・ヴィオラ
……………そう、ですよね……
棺の中に入り、冷や汗を垂らすフロルちゃん。
きっと不安でいっぱいなのだろうと、落ち着かせるように優しく微笑みかければ、少しの沈黙の後、口角を上げて笑った。
その笑みはまるでお人形のようで、綺麗過ぎて嘘のような、微笑みだった。

そんな表情に違和感を覚えた私は、そっと学園長の袖を引く。
顔だけで此方を見た彼に「フロルさんの表情、変じゃ無いですか?」と問い掛ければ、少し観察した後「心配し過ぎですよ」なんて軽くあしらった。

やっぱりダメだ、このカラス。
ディア・クロウリー
目を閉じて、強く故郷の事を念じて……
ディア・クロウリー
さあ、闇の鏡よ!
この者をあるべき場所へ…………
フロル・ヴィオラ
っ、いや!!帰りたくない!お願い………
純連 あなた
!!……フ、フロルちゃん…?
フロル・ヴィオラ
あなたさんお願い、私も一緒に学園に連れて行って、私本当は帰りたくないの……!!
少し過呼吸気味になっている彼女を棺から出し、背中を撫で、深呼吸をさせてどうにか落ち着かせる。
心拍も呼吸も段々と落ち着いてきたフロルちゃんに、どうして帰りたくないのか、説明を求めた。
流石に、理由無しに此処までの嫌がり方は有り得ないと思ったのだ。

一瞬話すのを躊躇った彼女だったが、チラリと此方を見た後に、ポツリポツリと言葉を零す。
彼女は、誰もを魅了するその美貌故に、苦労してきた。
幼い頃から可愛らしい見た目をしていたフロルちゃんは、男子からは注目の的、女子からは虐めの的となっていたそうだ。

「私の好きな子奪うなんて」
「私の彼氏奪うとか、本当最低」
「顔だけの性悪女なんでしょ」

言われのない悪口や陰口、噂まで立てられて、顔しか見ていない男共に狙われ続け。
若干の人間不信に陥りかけた時、更に拍車を掛ける時間が起きた。

なんと、フロルちゃん姉の彼氏が、妹を好きになってしまった。
これにより姉からは罵詈雑言を浴びせられ、両親は護ってもくれなかったらしい。
そんな家族が嫌になり、涙を零しながら眠りに着けば、この棺の中に居たと言う。
純連 あなた
………そう、だったんだ……
フロル・ヴィオラ
もう帰りたくない、女子校になんて通いたくない、だったら男子校の方がよっぽどマシよ!!
彼女の悲痛の叫びに、鏡の間が一気に静まり返った。
学園長に目をやれば、顎に手を添え何かを考えながら、フロルちゃんを見つめている。
しゃがみ込んでわんわんと泣く彼女の肩を叩いた彼は、そっとフロルちゃんに問いかけた。






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