第15話

14話。
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2022/05/20 02:58





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純連 あなた
蜘蛛の巣は取れた、けど………
グリム
さっきから雨がポタポタ落ちてきてんだゾ!
どうにか出来ないのか……!?
フロル・ヴィオラ
ま、魔法でどうにか出来るかも!
えっと、さっき貰った宝石の付いたペンを使って………
純連 あなた
フロルちゃん、魔法に慣れてるんじゃないの!?
フロル・ヴィオラ
た、確かにユニーク魔法もあるし魔法も使えるけど、実際に使った事は殆どなくて………
私の住んでた場所、魔法士が全然居なかったから………
フロル・ヴィオラ
で、でも!雨漏りくらいなら……!!
「えいっ!」

薄紫に染まるマジカルペンを雨漏り目掛けて振るうと、宝石が瞬く間に輝き出す。
光を放つ宝石からキラキラと星が溢れて、天井いっぱいに広がった。
数秒後、その光が一気に弾け、次の瞬間には綺麗になった天井だけが、目に入った。

新品程ではないが、雨漏りしそうな穴は見えず、魔法の残留が煌めいている。
フロルちゃんを見れば自分でもここまで出来たのがよく分からなかった様で、あわあわと困惑している様子だった。
フロル・ヴィオラ
わ、私、なんでこんな………!?
純連 あなた
凄いよフロルちゃん!!
ブロットも全然溜まってないし、もしかして、この寮全部直せちゃうんじゃ……
フロル・ヴィオラ
や、やってみるね!!
希望も込みで「全部直せちゃうんじゃ」なんて呟けば、フロルちゃんは目を輝かせながら、床に落ちている絵画目掛けてマジカルペンを振るった。
絵画が浮かび上がり、元あった位置に戻る……なんて、事はなく。

まるでさっきまでの魔法が嘘だったかの様に、少し浮かび上がった絵画は、瞬く間に床へと落下して行った。
ドーンッ!と鳴り響く落下音に、私たちは肩を震わせ驚く。
グリム
おい!オマエ、全然魔法使えてねーんだゾ!!
純連 あなた
こらグリム、そんな事言わないの。
フロル・ヴィオラ
なんで、だろ………おかしいな、さっきと同じようにやったんだけど……
???
魔力が安定してないからじゃないかのぉ?
2人と1匹で、落下した絵画を眺めながらうーんうーんと首を傾げる。
瞬間、背後にある廊下の扉から、おじいちゃんの様な若干掠れた高い声が聞こえてきた。
フロルちゃんは目を見開き、グリムは毛を逆立てて驚く。
私は、なんだか聞き覚えのあるこの声を、少し疑問に思っていた。

「な、ななんかいるんだゾ……!?」

瞳をうるうるとさせながら怯えるグリム。
なんだこの生き物めちゃくちゃ可愛いな………そっと腕に抱き抱えながら、扉の方へと一歩踏み出した。
「ヒーッヒッヒッヒ……」

刹那、オンボロ寮中を駆け巡る様に響く高笑い。
ふな"ぁ!?と声を上げるグリムを宥め、半泣きで腰にしがみ付いてくるフロルちゃんを落ち着かせ、まるで保育園の先生になった気分だった。
驚いたり怯えたり、そんな事している場合じゃ無い。
純連 あなた
あのー!怯えてる人が居るのでやめてくださーい!!
そう叫んだ瞬間、ぼふんっという柔らかい爆発音を最後に、高笑いの声は消えて行った。






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