『 同じような綺麗なバラと
お揃いのキーホルダー。』
健人 『 いや、いい顔して話すなぁって。』
「 本当にやさしくて。」
私は何も知らないこの人たちに
自分のことについてたくさん話した。
カウンターに飾られた綺麗なバラを眺めながら
時間も忘れて。
時計を見るともう勝利が帰ってくる時間。
「 私そろそろ帰りますね 」
話していたら体調もよくなった。
マリ 『 もう少しいたらいいのに 』
風磨 『 夕飯作るけど 』
「 彼氏が帰ってくるので。」
今日なら笑顔で出迎えられる気がする。
健人 『 もうすぐ仲間あと一人帰ってくるのに 』
「 今日は帰ります!笑顔で出迎えたいので。』
健人 『 かわいいなぁ。』
「 え? 」
健人 『 恋する女の子は。』
健人さんは私の手をもって
「 健人さん? 」
その瞬間フラッシュバックした。
「 やめてくださいっ 」
優しくしてくれた健人さんから
手を振り払った。
「 あ、ごめんなさい。そういうことは。」
健人 『 ははっ、冗談だよ 』
風磨 『 ほんと中島は。』
マリ 『 また来てね 』
この3人がそろうと、
どこか重ねてしまう。あの怪盗と。
こんな優しい人たちが・・・・。
そんなはずない、ただ頭が敏感になってるだけ。
私はそのまま家に直行して
料理を作って勝利のことを待った。
でも、なかなか今日は帰ってこなくて、
時間をつぶすためにテレビをつけた。
たまにはこうやって過ごすのもいいかも。
『 速報です 』
テレビがニュースに切り替わって
『 先ほどあの有名な△美術館に怪盗Sexy Roseが 』
その内容は私の家にも侵入した怪盗の内容だった。
そして映像が映って
「 あれ。」
そこに映ったのは
「 4人、? 」
今までニュースもちゃんと見てなかった私は
初めて彼らの報道を見た。
あの時の黒い衣装で美術館の屋上に立つ。
そして片手にはバラを持っていた。
Barで見た、同じような綺麗なバラ・・・。
ビルの反対側から落ちたと思うと
はたまた姿を消した。
「 え。」
それから1時間。
勝利 『 ただいま〜 』
「 あ、おかえり! 」
勝利 『 ごめんね、遅くなっちゃった。』
「 んーん、お疲れ様。ご飯は? 」
勝利 『 お、食べたい 』
下準備をしていた料理をテーブルに出して
私は勝利の向かいの席に座った。
「 今日仕事どうだった? 」
さっきのニュースで一つ気になったことがあった。
4人が姿を消したとき、
「 え。」
見覚えのあるものが目に入った。
それは。
勝利 『 あなた、これおいしいよっ! 』
「 よかったぁ 」
「 ねえ、勝利?見てこれ 」
勝利 『 ん? 』
「 これ覚えてる? 」
そういって出した初めてデートした時に買った
クマのキーホルダー。
「 これね、気づかなかったんだけど、」
クマの手を勝利に見せた
「 ここハート半分だったのっ! 」
勝利 『 え!?ほんとだ!知らなかった! 』
できるだけ明るく振舞った。
ニュースで見たあのマントが
浮いた時にちらっと見えたもの。
勝利のカバンから出てきたクマは
紛れもなくそれだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!