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第1話

元カノ
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2018/02/09 09:03
「彼氏出来たんだって~?」

甲高い声が休憩室にいる僕の耳まで届く
バイト先の先輩は女の人たちばかりで、いつも色恋沙汰に花を咲かせて話している

「ふふ、そうです~つい一週間前__」

そう答える女の人の声は聞いただけで誰だか分かってしまうほど、親しかった人だった

「お前、」

聞き耳を立てていた僕の肩に、後ろから誰かが手を乗せる

「えっ……あぁ、なんだよ、お前かよ」

少ない男子面子の一人で最も信頼をおいてる友達は、僕の顔を覗き込む

「元カノ、彼氏出来るの早くないか」

別れたのは3ヶ月前で、僕から言ったことだった

何がそうさせたのか決定的なことは曖昧な記憶と化としたが、
想いあっていたことも、
二人でいることが僕にとっての苦痛と感じていたことも、
彼女が泣きじゃくりながら了承したのも、
幻だったかのような一瞬の過去だが、
確かにその時間は存在していた

「まぁ、いんじゃね、あいつがいいなら…」

そう言いながらも話をこっそりと聞いている時点で、少し気になっていることは友人にもお見通しなのだ

「まぁ、なんかあったら言えよ」

「……ああ」

友人が出ていったのとすれ違いに、誰かが休憩室に入ってくる足音が聞こえた

「あ、お疲れ様です」

にこやかに笑いかけてきたのは、お噂の元カノだった

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