第88話

PHASE18 君と僕は似ている
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2022/07/28 14:36
((今回はセリフのみになります。))





おらふくん
僕は、みんなと一緒に明日を見ようと思った。
おらふくん
完璧を目指した、かつての自分を捨てて。
めーや
………。
ふじみや
…それが、どうしたんです…?
おらふくん
ふじみやくん。君も、分かっているはずだ。
おらふくん
君も、守りたい人たちがいるから、頑張るんでしょ?
おらふくん
僕も、守りたい人たちがいるから、頑張るんだ。
おらふくん
かつて僕が完璧に囚われていたように、君も自己犠牲に囚われている。
詩人
え…?
おらふくん
かつて高田さん達を守ろうと消滅した君と、今の君は何も変わっていない。
おらふくん
自分が消滅しても、彼らが…大切な人たちが無事ならそれでいい、そう思ってる。
おらふくん
生存欲求、だっけ?
おらふくん
そんなものは君からはとっくに無くなってたんでしょ?
めーや
……!
おらふくん
僕は消滅する運命だから、そう思って、君は大切な人たちを守るために力を使うようになった。
おらふくん
自分が居なくなっても、彼らを守れればそれでいい、とか思ってるんじゃない?
ふじみや
……っ、
おらふくん
…うん。やっぱり、君と僕は似ているよ。
おらふくん
その頑なに認めたくないところが。
おらふくん
だからこそ言おう。
おらふくん
勝手に自己完結するな、ってね。
おらふくん
…めーやさん。
めーや
ん?
おらふくん
プテさんが消滅した時、なんて言ってましたか?
めーや
…みんなをお願いね、って…。
おらふくん
…アベレージさんに力を託して?
めーや
ああ。
おらふくん
これだよ、ふじみやくん。
ふじみや
え…?
おらふくん
君には、大切な人たちを守りたいと思う気持ちはあっても、残された人たちの思いをわかっていない。
おらふくん
…プテさんは、きっと最後まで一緒に戦いたかったはず。
おらふくん
でも、それが出来ないのがわかってた。
おらふくん
だから最後、大切な人に力を託したんだ。
ふじみや
…何が、言いたいんですか…?
おらふくん
…もう分かってるくせに。
おらふくん
どうせ消えるのなら、自分の生きた証を残せって事!
ふじみや
生きた…証…?
おらふくん
実はね、サントスさんに託されたんだよ。
おらふくん
ふじみやをお願いします、って。
ふじみや
え…?
おらふくん
サントスさんから聞いたんだけどさ。
おらふくん
予言の子に作られた護り人は、予言の子が消えた際、力を託さずに消滅した護り人の記憶は残らないそうじゃん?
めーや
は!?
詩人
え!?
ふじみや
………。
おらふくん
元々予言の子は人知れず抑止力から告げられた任務をこなす為の存在…。
おらふくん
その役目が終われば、予言の子は接触した人々からその記憶が消える…。
おらふくん
何事も無かったことになるそう。
おらふくん
だから実際に予言の子を見た、っていう記録はどこにも残っていない。
おらふくん
伝説だけが取り残され、本当の記録は今までずっと忘れられてきた。
おらふくん
でも、今回は違う。
おらふくん
サントスさんが予言の子を辞め、奇跡を叶える力を手にしたことで、希望を見いだせたんだ。
おらふくん
本来、誰の記憶にも残らないはずの君たちは、人々の記憶に残ることが出来る。
おらふくん
君はどうでもいいかもしれないけどね、
おらふくん
残される側は忘れたくないんだ。
おらふくん
きっと、高田さん達もそう言うと思う。
ふじみや
………。
おらふくん
大切な人のことは忘れたくないし、その人の死後もその人を思い続ける。
おらふくん
人は、そういう生き物なんだ。
おらふくん
これは僕ら人間のワガママだ。決めるのは君自身。
おらふくん
でも、それでも君の中に少しでも人の心が芽生えているのなら。
おらふくん
どうか、僕の話に乗って欲しい。
おらふくん
僕はふじみやくんのことを忘れたくない。それはきっと、ここにいるみんなが思っていること。
ふじみや
………。
めーや
ふじみや。
ふじみや
…めーやさん…。
めーや
俺からも頼むよ。
めーや
俺も、お前のことを忘れたくない。
ふじみや
………。
詩人
俺も!
詩人
ふじみやさんとは会ったばっかりだけど、この出会いを忘れたくない!
ふじみや
…詩人さん…。
ふじみや
………。
ふじみや
おらふくん。
おらふくん
はい。
ふじみや
僕の力、君に託していいかい?
おらふくん
……!
おらふくん
…うん、託された。
めーや
ふじみや…!
詩人
ふじみやさん…!
ふじみや
ありがとう。僕のことを、覚えていてくれようとして。
ふじみや
ありがとう、人ならざる僕に、優しくしてくれて。
めーや
当然だよ。だって俺たちは、友達なんだから。
ふじみや
……ありがとう、ございます。
ふじみや
…おらふくん、手を。
おらふくん
…うん。
ふじみや
僕の力、君に捧げる。
ふじみや
…高田さん達に、言っておいてもらえるかな?
ふじみや
ありがとうございました、って…。
おらふくん
…うん。伝えるよ。
ふじみや
…ありがとう。










???
彼もまた、大切な人の為に力を託し、消えていった。
???
残された者は、消えていった者たちの思いを背負い、戦わなければならない。
???
そしてこの戦いも、もう少しで決着が着く。
???
果たして、勝利の女神は彼らに微笑むかな?





to be continued…


今回のタイトルは決して某アニメのエンディング曲から取ったわけじゃありません。



…ホントダヨ?

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