第82話

PHASE12 高田村
1,881
2022/07/20 14:25


瀬戸side



瀬戸あさひ
高田…健志…。
たけぉさんたちから聞いた、高田村の村長が、今俺の目の前にいる。


でも何故、彼がここにいるんだ…?
高田健志
…君が、瀬戸あさひか…。
瀬戸あさひ
………。
俺を、知ってる…?
高田健志
…話はしんたろーたちから聞いてる。
高田健志
その上で、君に尋ねたい。
瀬戸あさひ
高田健志
…君は、本当にこの世界は救う価値のあるものだと思っているのかい?
瀬戸あさひ
……それは。
前に、悪魔様に似たような事を聞かれたのを思い出した。


俺はその時、大切な人がいるから、守りたい人がいるから戦うと、そう答えた。



それをのけると……確かに、高田さんの言う通りこの世界を救う価値なんて、ないのかもしれない。


前にアベレージが言ってた通り、この世界はやっぱり嘘ばかりでできているんだろう。



人の性。人の業。それによって多くの生命が散っている。



…でも、それでも俺は。
瀬戸あさひ
俺は、この世界を、人を信じます。
高田健志
………。
瀬戸あさひ
確かに、人は悪意の塊。
瀬戸あさひ
それは、誰にでも言えること。
瀬戸あさひ
…でも俺は。
瀬戸あさひ
大切な人たちと一緒に、この世界で生きていたい。
高田健志
………。
瀬戸あさひ
それに、人の悪意を止められるのも、それを正すことが出来るのも、また人だから。
瀬戸あさひ
俺たちはそのために、戦ってるんだ。
瀬戸あさひ
今も、そしてこれからも、
瀬戸あさひ
俺たちは戦い続ける。
瀬戸あさひ
それが、俺の答えです。
高田健志
……そうか。
高田健志
………。
高田健志
…君たちに、かけてみることにした。
瀬戸あさひ
え…?
高田健志
しんたろーたちから聞いて、色々考えて。
高田健志
実は今日、ずっとこっそり君たちを見ていたんだ。
…マジか。
高田健志
…君たちの姿は、絶望する前の俺と同じだ。
瀬戸あさひ
…え?
高田健志
でも、君たちは俺とは違った。
高田健志
倒れても尚、立ち上がる君たちの姿、そしてその勇気と覚悟。
高田健志
それを信じてみようと思う。
瀬戸あさひ
…高田さん…。
高田健志
それはそうと、俺たち ・  ・がここに来たのはこれを伝えるためだけじゃない。
高田健志
君たちの力になるために来た。
瀬戸あさひ
え…?
力になるって…?どういうことだ?
高田健志
君だけが戻されてしまうのは、さっきも言った通り、魔女が君を最上階に来させまいとしているからだ。
高田健志
魔女は、君が唯一自分を殺せる力を持っていることに気づいている。
瀬戸あさひ
っ!
高田健志
あのオートマタ達も、君を最上階に来させまいとする妨害のひとつ。
高田健志
君はこのままでは魔女の所まで辿り着くことは出来ない。
瀬戸あさひ
………。
高田健志
俺自身が力になることは出来ないが、俺の仲間の力なら、君を最上階に辿り着くことが出来るようにしてくれるだろう。
瀬戸あさひ
え?
高田健志
…と言うわけで、頼むぞ、なな湖。
なな湖
任せろ、健志。
すると、物陰からなな湖と呼ばれた人が現れた。
瀬戸あさひ
えっ…えっ?
なな湖
はじめまして、俺はなな湖。
なな湖
健志が君たちを信じるんなら、俺も君たちを信じてみる。
なな湖
だから、君に俺の力を貸すよ。
まって、ありがたいんですけど、話が全く読めないんですが…?
なな湖
俺の異能は『忠誠』。
なな湖
この力を使った相手を、どこにいても守ることが出来る力。
瀬戸あさひ
え…?
高田健志
なな湖の力があれば、魔女の妨害も受けない。
高田健志
君はもう二度とここに戻されることは無い。
瀬戸あさひ
高田健志
そして最後にひとつ。
高田健志
君のその『直視の魔眼』があれば、この傷一つ付かない壁も、壊すことが出来るだろう。
高田健志
なんせ、『ものの死』を視れるんだから。
瀬戸あさひ
っ!
高田健志
さ、行け。仲間が上で待っているぞ。
なな湖
頼むよ、この世界の未来を。
瀬戸あさひ
…っ!はい!ありがとうございます!















高田健志
…これでいい。
なな湖
健志…。
高田健志
悪いな、なな湖。俺が異能を使えないばかりに…。
なな湖
そんな、気にするなよ。
なな湖
だって健志の異能は使えないじゃなくて使っちゃいけない ・ ・ ・ ・  ・ ・  ・ ・んだから。
高田健志
………。
なな湖
さ、早く向こうに合流しようぜ。
なな湖
桃十さんが今頃たろくんたちと一緒に世界を守るために頑張ってくれてるんだから。
高田健志
…そうだな。




to be continued…


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