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自分自身の服を整えながら私を見つめるひょんじゅな
さっきまで雄だったくせき
一瞬でいつものトイプードルに戻ってしまう
私はそんなひょんじゅなが大っ嫌い
なんで嫌いなのか、と聞かれれば
多分私はこう答える
「 ひょんじゅなのお兄ちゃんが
私の大好きなうそくさんだから 」
今自分がどれだけ恥ずかしくて
馬鹿臭いことを言っているのか、
自分でも理解できる
でもさっきのそれが間違っているとは思わない
ひょんじゅな自身も
私の気持ちに気付いていて
うそくさんの近況報告までしてくれる
そう言って
ひょんじゅなの頬に軽く口付けする
ひょんじゅなは結構単純だ
上目遣いで話せば直ぐにデレるし
泣き真似をして目を潤ませれば
慌てて 「 ごめんって、ぬな、! 」 なんて言い出す
うそくさんもこれぐらい
単純な人だったらいいんだけどな…
そんなことを考えながら
自分も部屋から出る準備をする
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!