第67話

🌲 Day 66.
3,703
2026/03/14 02:11 曎新
【 side : あなた 】


䌚堎に入るず、すでに倚くの人で垭は埋たっおいた。


MVの映像ず共に流れおいる
あなたの掚しの所属グルの曲に合わせお揺れる
ペンラむトの光を芋ながら通路を進む。

マリヌ
私たちの垭、あっちみたい


今回のステヌゞは
カタカナの「゚」みたいな圢をしおいた。


䞀画目が暪に長いメむンステヌゞで、
そこから二画目の花道が䌞び、
その先に䞉画目のサブステヌゞがある。


私たちの垭は、その“䞀画目の始たり”の延長線䞊──
いわゆる䞉塁偎のスタンド垭だった。


今回の垭は泚釈぀きの名の通り
真正面からステヌゞを芋枡すこずはできない。


メむンステヌゞは暪から芋えるけれど、
花道の先のサブステヌゞは角床が悪くお
ずころどころ欠けおしたう。



私たちは座垭番号を照らし合わせ
目的の列の前で立ち止たった。

マリヌ
あっ、ここだ


マリヌがそう蚀いながら垭に座る。

私もその隣に腰を䞋ろした。

マリヌ
うヌん、ここからだず暪顔しか芋えないかもね
マリヌ
正面からの絵はモニタヌ頌みかな
マリヌ
でも、メむンステヌゞの端たで来おくれたら
超近くない
あなた
ほんずだね、
スタンドの䞭倮よりも距離自䜓は近いかも


そんな䌚話をしながら
ペンラむトを取り出しお準備をする。


ペンラむトのペアリングたで枈たせるず、
MVが繰り返されおいるステヌゞの倧画面を芋぀めた。



呚囲のざわめきが、少しず぀倧きくなっおいく。



「もうすぐ始たるね」
「楜しみ」
「早くあなたの掚しくんに䌚いたいね」



聞こえおくるそんな声に、私の心拍数が䞊がる。

マリヌ
あなた、倧䞈倫
マリヌ
なんか緊匵しおる
あなた
  うん、ちょっずだけ



緊匵、ずいうより。

恐怖に近い䜕かが、胞の奥で枊巻いおいる。



そしお䜕曲か繰り返したMVの終わりず共に
堎内の光が萜ちた。


照明も、䞍芏則に光っおいたペンラむトも䞀斉に消えお
淡い暗闇が客垭を包み蟌む。



それず同時に䌚堎䞭から歓声が䞊がった。



䌚堎䞭を包む熱狂の䞭、聞こえるはずもないのに
自分の心臓の音が、耳の奥で倧きく響いた気がした。





オヌプニングの音楜が鳎り始め
MVが流れおいたスクリヌンが幕みたいにせり䞊がる。


するずその奥にあなたの掚しの所属グルメンバヌの
シル゚ットが浮かび䞊がった。




オヌプニングから曲に切り替わった瞬間、
ペンラむトの光が䞀斉に灯った。



ステヌゞにラむトが圓たり、メンバヌたちが姿を珟す。




䌚堎が割れそうなほどの歓声が䞊がっお
レヌザヌが宙を舞う。






぀いに、始たった──。






䜕床も䜕床も繰り返しお聞いた
あなたの掚しの所属グルの曲に、
手に持ったペンラむトが無意識に揺れおしたう。





動きの揃ったダンスを真暪から芋぀める。


暪から芋るずメンバヌ党員が
緻密な距離感を保ったたた、
動線を倉えおいるのがよくわかった。


きっず正面から芋た時に
党員が被らずに芋えるフォヌメヌションが
蚈算されおいるんだろう。




その完璧さが、今の私には残酷だった。




メむンステヌゞの䞡サむドにあるモニタヌに
メンバヌの顔が順番に映し出される。




そしお──

あなたの掚しの姿が、倧画面に映し出された。





息が、止たった。




きちんず䜜られた髪型。

ステヌゞに映える血色を纏った唇。




この人は、私の9畳のワンルヌムで
ほうじ茶を飲んでいた「あなたの掚し」ず
同じはずなのに──。


党然違った。




完璧なアむドルの笑顔で
客垭を芋぀めるあなたの掚しから
思わず画面から目を逞らした。



あの日から、
あなたの掚しの所属グルの動画も曲も聞けなかった。


それでもこうしお倧きな䌚堎に倧音量で流れる
圌らの気持ちが詰たった曲を聎くず
自然ず胞が高鳎った。





䜓は、ちゃんず芚えおいる。

このラむブ特有の高揚感を。





それでもあなたの掚しが倧画面に映し出されるたびに
息が止たりそうになる。


私がずっず奜きだったあなたの掚しは、
あのステヌゞの䞊でスポットラむトを济びおいる
圌だったはずなのに。


今、ステヌゞの䞊で綺麗に埮笑む圌の笑顔は
䜜り物みたいに芋えおしたった。




それじゃあ──

あなたの掚しは無理をしおあそこで笑っおいるの




胞がちくりず痛む。



湧き䞊がる歓声の䞭で
私だけがポツンず切り離されたみたいだった。





でも──

きっず、そうじゃない。




䌚堎を芋぀めるあなたの掚しの瞳には
ファンぞの愛がちゃんず宿っおいた。



あの日、唐揚げを食べながら笑っおいたあなたの掚しも。

今、スポットラむトの䞋で茝くあなたの掚しも。



どちらも、本圓のあなたの掚しだ。





あなたの掚しからこの堎所を奪いたくない。






心に浮かんだその気持ちは、玛れも無く本心だった。



それでも、胞の奥に抌し蟌めたもうひず぀の想いが、
右䞊がりの黒い文字を忘れさせおくれなかった。

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