窓の外を覗くと、掲示板に貼られたポスターが嫌でも目に入った。
あぁ、花火大会は来週なんだなって。
大貴と行けたら_______________
そこまで思ってため息をつく。
結局私は大貴を忘れられてないんだ。
早く忘れたい、忘れさせて。
君色で塗られた私の心を誰か、塗り替えて欲しい。
外に出るのも憂鬱な雨の日。
自分の部屋に引きこもって寝転がる。
こんな時に限ってまた雨か……
でもこの前の雨の日は涼介が来てくれたっけ。
傘もって、濡れた私に酷く照れて……
今日、すごく涼介に会いたい。
話しに行ったら、迷惑かな……、?
ピーンポーン
" はぁーい "
あ、間抜けな涼介の声。笑
こうやって涼介の温かさを身近に感じられるだけで、重かった私の心が軽くなる気がした。
涼介の部屋に促され、ベッドの上に座る。
私と涼介はお揃いのココア。
私も涼介もかなりの甘党なんです。
隣にちょこんと座る涼介。
気づくと、頬が濡れていた。
私、ほんとに涼介に弱いんだから。
ふわっと涼介に包まれる。
優しく背中を摩ってくれる。
それだけですごく安心してしまう私がいるんだ。
抱き締める腕を強くする涼介。
顔を上げると、いつもよりもずっと近くに整った顔がある。
私は顔が真っ赤になったはずなのに、涼介は照れる様子すらない。
余裕なのかな、なんて思う。
その言葉だけで、私の全てを受け入れてくれた気がした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!