みんなが次々に人魚に連れていかれた
残るは私1人
人魚「いい、今から言うことをよく聞いて。あなたをあの窓から逃がす。ただしここは5階。隣のパイプを使えば必ず下まで降りれるから焦らずゆっくり降りていくのよ。」
そういうと私の手を引いた
人魚「もうすぐそこに来てる」
人魚が見るほうを私も見ると
大きな赤い鬼が2人
ゆっくりゆっくりこちらに近づいて来ていた
大きな金棒は絵本で見たのと全く同じだった
違うのは絵本みたいに可愛い顔ではないところ
人魚「どうか生きて」
ゆっくり水に入ると人魚がすかさず補助にまわる
すぐに小さな窓につき
ガラッと開ける
人魚「はやく。横のパイプに」
身を乗り出すとはるか下に地面が見えた
震える手でパイプを掴むと
中から低くて大きな声が聞こえた
鬼「今日の生贄は」
その声と同時にピシャリと窓が閉まった
人魚「殿方ばかりでありんした。」
鬼「・・・。そうか。」
私は息を殺してそっとパイプをつたって降り始めた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。