「なんやったん今の」
自分でも情けないくらいに声が震える
あんな大量の人形
しかも喋るし
神山「なぁ、この部屋誰かおるで」
神ちゃんの一言でまた背筋が凍った
またあんな怖い思いせなあかんの??
もう嫌やで私
重岡「あなたここおれ。俺と神ちゃんで見てくるから」
「そっちのほうが嫌や。1人にせんといてよ」
そないかっこいい顔で言われても
1人になるのだけは絶対に嫌やで私
というわけで、しげちゃんの腕にしっかり捕まり
神ちゃんを先頭に見に行くことになった
神山「ここから隣行けるんや」
奥に木でできた扉がある
耳を澄ますと微かに話し声が聞こえた
「また追いかけられたらどうしよ。置いてかんといてね」
神山「大丈夫。置いて行かへん」
ふわり優しく神ちゃんが笑い
私を落ち着かせてくれた
神山「よっしゃいくで」
重岡「おん。」
しげちゃんは私を庇うようにして立ち
神ちゃんがゆっくりドアノブをまわした
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。