あなたside
会えて嬉しいはずなのに
気まづくて二人の間に沈黙が走る。
駿は前と変わらず博多弁で話しかけてくる。
何故かそこに懐かしさを感じて引っ込んだ涙が
また零れそうになる。
駿はタクシーを止めると、どこかの住所を
運転手さんに伝えた後窓の外を眺めた。
駿に聞きたいことはたくさんあるけど
タクシーの中だしと思うとあまり聞けなかった。
タクシーに揺られること20分、おっきめの裏路地
のような所に到着した。
言われるがままついて行くと、
広いアパートのような所へ入った。
駿の声に応えるかのように奥から
若い男の人の声が聞こえた。
奥からパタパタ走ってきたのは赤い髪の毛の
低身長の男の子。...いや、よく見たら男性。
この建物はホントに事務所なのか...。
そう思いもう一度周りを見渡す。
冷静になって考えると結構ゴミが散乱している。
5分後
...過激だとは聞いたことがあったけど
こんなにすごいとは。
駿もこんな感じなのかな...w
そう思うと、口元が緩んだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!