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第1話

始まり
82
2018/08/08 17:18


とある夜―――――。


パァアァンッ!!!


みんなの寝静まった夜を引き裂くような銃声が響く。
この銃声が、あたしの住む小さな町で、これから起きる事件の始まりだった・・。

翌日 ―学校―
教室は昨晩の事件の話題で持ちきりだった。
中亜 桜
中亜 桜
雛!
おはよー!
彼女は 中亜 桜
   (なかあ さくら)

私の近くの席で何かと私に絡んでくる。
彼女から言えば私は
“友達”らしい
橋川 雛
橋川 雛
あぁ。
おはよう中亜さん。
まぁ、私は別に
ただのクラスメイトとしかみていないけど。
中亜 桜
中亜 桜
もー。
そろそろ名前呼びくらいしてよー。
橋川 雛
橋川 雛
無理
中亜 桜
中亜 桜
うー・・。別にいいじゃーん。
はっきり言えば彼女にはあまり興味がない。
平均的、標準的、普通
私から言わせればそんな感じ。
別にそういえる立場って訳でもないけど。
中亜 桜
中亜 桜
ねね! 
雛は昨日の銃声聞こえた?
橋川 雛
橋川 雛
・・ええ、まぁ。
銃声だし、静かだったから聞こえるわよ。
昨夜、この町で事件が起こった。
夜12時くらいに一発の銃声が鳴り響いた。
場所は公園、昼の間は結構人がいて明るい。
けど、夜になると外灯がないために暗い
私も塾帰りとかによく見るけど、ほんとに暗くて不気味だ。
近くに住んでる人たちがすぐに駆けつけたみたいだけど・・
そこにあったのは・・・

“血だまりだけ”だったのだ。

後の捜査で遺体が隠されていないか公園の中を探したけど
どこにもなかったのだ。
発砲から人が駆けつけるまでおそらく数分
その間に遺体をどこに持ち去ったのか・・・。
ここがみんなの気になるところだ。
死んだ人はまだ分かってないらしいけど
昨晩から風見(かざみ)さんのところの一番上のお兄さんが帰ってきてないらしいことを
風の噂で聞いた。
たしか、あの人最近ギャンブルにはまってから性格変わって
家族もおびえてたっけ・・・。
中亜 桜
中亜 桜
いやー。もうみんな推理合戦だよ。
ちなみに、ちなみに
あたしの推理は―
橋川 雛
橋川 雛
いい、興味ない。
中亜 桜
中亜 桜
ガビビーン・・。
そんなはっきり言わなくても。
橋川 雛
橋川 雛
まともな推理じゃないこと
わかってるもの。
中亜 桜
中亜 桜
そ、そんなぁ。
中亜 桜
中亜 桜
もー、なんか萎えちゃった・・。
やっとこの会話が終わる。
中亜 桜
中亜 桜
あ!
雛知ってる?
・・・そう思った時期もありました。
これはまだ続きそうな予感・・・。
橋川 雛
橋川 雛
今度は何?
中亜 桜
中亜 桜
今日、うちのクラスに転校生が来るらしいよ!

・・・珍しく興味がわいた。
転校生か・・。
橋川 雛
橋川 雛
どんな子なの?
中亜 桜
中亜 桜
おっ!
珍しく食いつきがいいね!
・・でも、女子ってくらいしかしらないや・・。
橋川 雛
橋川 雛
役立たず((ボソッ
中亜 桜
中亜 桜
ちょ!
今、役立たずって!
橋川 雛
橋川 雛
あ、先生来たよ。
中亜 桜
中亜 桜
ぐぐぅ
(なんかはぐらかされた気が・・。)
岩崎先生
岩崎先生
お前らー 席付けー
先生は気だるげな間抜けな声でそう呼びかける。
そして大きなあくびを1つしホームルームを始める。
岩崎先生
岩崎先生
お前ら、まぁ昨日の騒ぎのことはいったん忘れろぉ。
気持ち切り替えて聞けよぉ。
岩崎先生
岩崎先生
今日このクラスに転校生が来た。
うし、入ってこーい。
先生が合図すると
教室の前の方の扉が開き
1人の女子が入ってくる。
一斉に男子や女子がコソコソと
話し出すのが分かる。
羽場音 黒歌
羽場音 黒歌
初めまして!
羽場音 黒歌って言います!
(はばね くろか)
よろしくお願いしまーす!
彼女は全身からふわふわとした・・
例えるならばお花畑のような雰囲気をまとっている。
笑顔もにこやか 
顔つきは割ときれいめでたれ目
ロングヘアー・・・

見た目的には男子にもてそうだった。
岩崎先生
岩崎先生
うーし じゃあ羽場音の席はぁ
クラスの男子A
先生!
質問する時間とかはー?
先生はあからさまに怪訝そうな表情になる。
岩崎先生
岩崎先生
・・・しかたねぇなぁ。
1人だけだぞ。
クラスの女子A
羽場音さんって兄弟か姉妹っているんですか?
羽場音 黒歌
羽場音 黒歌
うん!
妹が2人とお姉ちゃんが1人いるんだー。
羽場音さんが言い終えると
先生はざわつくクラスのみんなを
静かにさせ『すぐに授業の準備しろよー』と言ったところで。
チャイムが鳴り、すぐに羽場音さんの周りには人だかりができた。
私が授業の準備をしていると
案の定、中亜さんが声をかけてきた。
中亜 桜
中亜 桜
いやぁ。羽場音さんかわいいねー。
あたし興味湧いて来ちゃった!
橋川 雛
橋川 雛
あっそう。
別に私は興味ないけど。
中亜 桜
中亜 桜
まったまた~!
今日はいつも以上に先生の話まじめに聞いてたじゃん!
実は興味あるんでしょ!
あたしに嘘はつけないよー!
ギクリ・・・。
こういうことには鋭いんだよなぁ・・・。
橋川 雛
橋川 雛
・・・そうよ。
ちょっとはあるわよ・・。
中亜 桜
中亜 桜
ね!
じゃ、今日の昼休み誘ってきてあげる!
橋川 雛
橋川 雛
は!?
ちょっ!
何でそうなるのよ!
私は羽場音さんを誘おうと歩き出した
中亜さんを止めて言う。
中亜 桜
中亜 桜
え?
なんでって・・雛羽場音さんと話したいんでしょ?
雛だったら誘えないだろうし
あたしが言ってあげようかと・・・。
・・・エスパーなの?
なんでこうも私の考えが見抜けるのだ・・。
中亜 桜
中亜 桜
・・・。
それとも、雛が誘ってくる?
にたにたしながら聞いてくる
中亜さん・・。
ほんとなら『ええ。行ってくるわよ。』
と答えたかったが・・
なにせ、あの人だかりの中に入ってこいって・・。
私には絶対に無理だ。
橋川 雛
橋川 雛
っ~~。
無理だから。
お願い。
中亜 桜
中亜 桜
あっれれ~。
人に物を頼むときはぁ~?
なんて言うんだっけぇ~?
またしても
にたにたしながら聞いてくる。
殴りたい・・・・。
でも、そんなことをしてしまえば
このチャンスは・・・。
橋川 雛
橋川 雛
・・・
羽場音さんを誘ってきてください。
お願いします。
中亜 桜
中亜 桜
うん。うん。
よろしい!
誘ってきてあげようではないか!
そういって中亜さんは
走って人だかりの中に入っていった。
そして時間はあっという間に過ぎ・・・
お昼休み―――――――
中亜 桜
中亜 桜
雛!
誘えたよー!
橋川 雛
橋川 雛
えぇ・・。
まさかとは思ったけど
本当に誘えたなんて・・・。
橋川 雛
橋川 雛
えっと・・。
その本人の姿が見えないんだけど。
中亜 桜
中亜 桜
ああ。
それなら裏庭に呼んであるから
大丈夫だよ!
橋川 雛
橋川 雛
そう。 まあ
ありがとう。
それじゃあ行ってくるわ。
中亜 桜
中亜 桜
ちょちょちょー!!
あたしも連れて行ってくれるんでしょ!
橋川 雛
橋川 雛
え・・・。
そうだったの?
中亜 桜
中亜 桜
そうに決まってるじゃん!
第一誘った本人がいなくてどうするの!
・・・私は少し悩んだけど
結果、彼女も連れて行くことにした。
借りもあるし、
二人きりだったら話が続かないかもしれないしね。
こうして
私たちは裏庭で待っている
羽場音さんのところへ向かうのであった。
――――――――――――
チャプター1  銃声  
――――――――――――
  
                 終わり

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