前の話
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とある夜―――――。
パァアァンッ!!!
みんなの寝静まった夜を引き裂くような銃声が響く。
この銃声が、あたしの住む小さな町で、これから起きる事件の始まりだった・・。
翌日 ―学校―
教室は昨晩の事件の話題で持ちきりだった。
彼女は 中亜 桜
(なかあ さくら)
私の近くの席で何かと私に絡んでくる。
彼女から言えば私は
“友達”らしい
まぁ、私は別に
ただのクラスメイトとしかみていないけど。
はっきり言えば彼女にはあまり興味がない。
平均的、標準的、普通
私から言わせればそんな感じ。
別にそういえる立場って訳でもないけど。
昨夜、この町で事件が起こった。
夜12時くらいに一発の銃声が鳴り響いた。
場所は公園、昼の間は結構人がいて明るい。
けど、夜になると外灯がないために暗い
私も塾帰りとかによく見るけど、ほんとに暗くて不気味だ。
近くに住んでる人たちがすぐに駆けつけたみたいだけど・・
そこにあったのは・・・
“血だまりだけ”だったのだ。
後の捜査で遺体が隠されていないか公園の中を探したけど
どこにもなかったのだ。
発砲から人が駆けつけるまでおそらく数分
その間に遺体をどこに持ち去ったのか・・・。
ここがみんなの気になるところだ。
死んだ人はまだ分かってないらしいけど
昨晩から風見(かざみ)さんのところの一番上のお兄さんが帰ってきてないらしいことを
風の噂で聞いた。
たしか、あの人最近ギャンブルにはまってから性格変わって
家族もおびえてたっけ・・・。
やっとこの会話が終わる。
・・・そう思った時期もありました。
これはまだ続きそうな予感・・・。
・・・珍しく興味がわいた。
転校生か・・。
先生は気だるげな間抜けな声でそう呼びかける。
そして大きなあくびを1つしホームルームを始める。
先生が合図すると
教室の前の方の扉が開き
1人の女子が入ってくる。
一斉に男子や女子がコソコソと
話し出すのが分かる。
彼女は全身からふわふわとした・・
例えるならばお花畑のような雰囲気をまとっている。
笑顔もにこやか
顔つきは割ときれいめでたれ目
ロングヘアー・・・
見た目的には男子にもてそうだった。
先生はあからさまに怪訝そうな表情になる。
羽場音さんが言い終えると
先生はざわつくクラスのみんなを
静かにさせ『すぐに授業の準備しろよー』と言ったところで。
チャイムが鳴り、すぐに羽場音さんの周りには人だかりができた。
私が授業の準備をしていると
案の定、中亜さんが声をかけてきた。
ギクリ・・・。
こういうことには鋭いんだよなぁ・・・。
私は羽場音さんを誘おうと歩き出した
中亜さんを止めて言う。
・・・エスパーなの?
なんでこうも私の考えが見抜けるのだ・・。
にたにたしながら聞いてくる
中亜さん・・。
ほんとなら『ええ。行ってくるわよ。』
と答えたかったが・・
なにせ、あの人だかりの中に入ってこいって・・。
私には絶対に無理だ。
またしても
にたにたしながら聞いてくる。
殴りたい・・・・。
でも、そんなことをしてしまえば
このチャンスは・・・。
そういって中亜さんは
走って人だかりの中に入っていった。
そして時間はあっという間に過ぎ・・・
お昼休み―――――――
まさかとは思ったけど
本当に誘えたなんて・・・。
・・・私は少し悩んだけど
結果、彼女も連れて行くことにした。
借りもあるし、
二人きりだったら話が続かないかもしれないしね。
こうして
私たちは裏庭で待っている
羽場音さんのところへ向かうのであった。
――――――――――――
チャプター1 銃声
――――――――――――
終わり
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。